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大卒新社会人の約4割が背負う平均300万円の借金…“ブラック奨学金”の実態

8/4(金) 6:30配信

ダ・ヴィンチニュース

 ブラック企業やブラックバイトなど「ブラック○○」という言葉はすっかりお馴染み。そんな「ブラック○○」に“ブラック奨学金”という言葉が新たに生まれた。奨学金とは、金銭的な事由から専門学校や短大、大学に進学できない若者を支援する制度のこと。この奨学金のほとんどは給付型ではなく貸与型。つまり学校を卒業し、社会人になれば奨学金を返済しなければならない。

 しかし、就職しても低賃金、就職先がブラック企業で身体を壊し長期休職、などといった理由から奨学金の返済が滞るケースが増えているそう。その際に奨学金返済の取り立てを行うのが、日本学生支援機構(以下JASSO)なのだが、このJASSOの取り立て方法が近年問題になっているという。

 その問題を事細かに解説しているのが『ブラック奨学金(文春新書)』(今野晴貴/文藝春秋)だ。労働・生活相談を行うNPO法人POSSEの代表として“ブラック奨学金”に苦しむ人の声を聞く著者の今野晴貴氏。彼によれば、学生の返済能力が乏しくなる一方で、JASSOの取り立てが厳しくなっており奨学金問題の状況は悪化の一途だという。

 具体的には本人が病気で働けない、低賃金、本人が死亡しているなど、やむを得ない事情があったとしても、連帯保証人・保証人に対して取り立てを行う。しかも裁判所を通じて、奨学金として借りた全額を一括請求するという。相当厳しい取り立ての実情については、本書に詳細に記載されているので、そちらをご覧いただきたい。そして、そんな現状を端的に示した「昔サラ金、今奨学金」という本書の言葉が印象的だ。

 どうしても返済に困ってしまった場合、どうすることもできないのだろうか。実は返済を緩和する方法が存在する。JASSOに「減額返還」「返還期限猶予」「返還免除」の申請を行えば可能なのだが、手続き書類を作るだけでも煩雑で、簡単にはこれらの制度が利用できないという。そのうえ、返済に困りJASSOの窓口に電話をしても制度を紹介してもらえなかった、そもそも担当者が制度を熟知していなかったというケースがある。極めつきは「頑張ってなんとか支払って」「借金をしたのだから必ず返すべきだ」と高圧的に繰り返すだけで、制度の説明すらしないということも。もし仮にその気がなかったとしても、このような対応は悪意があるようにしか思えないのは私だけではないはず。

 国立大学の学費は、ここ30年で15倍も値上がりした。さらに非正規雇用の拡大やブラック企業の増加で安定した職に就くことが以前に比べて難しくなっている。「大学全入」の時代であるはずなのに、裕福な家庭でなければ高等教育を受けることができないのは決して平等とは言えないだろう。“ブラック奨学金”の問題がさらに取り上げられ、制度が改善されることを切に願うばかりだ。

文=冴島友貴