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白鵬の「さあ来いよ」ポーズと「猫だまし」こそ強さの証

8/5(土) 7:00配信

NEWS ポストセブン

 相撲ブームが沸騰している。「謎のスー女」こと尾崎しのぶ氏が、現在相撲コラムを週刊ポストで執筆中。今回は、大きな話題となっている将棋の藤井聡太四段と、相撲界の期待の星・貴景勝について尾崎氏が綴る。

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 七月十二日、名古屋場所四日目。かわいらしい少年がテレビに映し出された。お弁当を頬張っているその人は、将棋界最多の二十九連勝を達成した最年少棋士、藤井聡太四段だった。前日大阪で行われた対局に勝利しベスト8入りした、と新聞で読んだばかりだったから、今日はお休みなのか、と見つめる。

 たのしげにうなずく笑顔は、藤井四段の将棋での活躍を報じるニュースとは大違い。私は「そうだよね、まだ十四歳だもんね」とほほえんでしまう。

 なんでも藤井四段は、小学校の卒業アルバムに「将棋界の横綱になりたい」と書いたほどの相撲好きであるという。幕内の取組一番ずつに、かたわらにいる師匠・杉本昌隆七段と身振りを交えながら熱く語り合っている。私は将棋のことはまったく知らないのだが、藤井四段は時の人。とてもすごい人。そんな藤井四段と同じことに深い興味を私も持っている。相撲が大好きということにおいて仲間なのだと思えて、うれしくなってしまう。

 前日までの三日間で、すでに鶴竜は一敗、稀勢の里と日馬富士は二敗している。ボロボロの横綱、大関陣で唯一黒星がない白鵬の相撲は、この日も、いや、この日は、と言ったほうが正しいかもしれない特別な、少なくとも私が相撲を見始めてから初めての、妙なものであった。

 挑戦者は、元気な相撲が目立っている二十歳の貴景勝。気の強さがみなぎっている表情が実にいい。当たっていなし、引いては押し、徹底して距離を取る戦法。両者が動きを止めしばらくにらみ合った後に、白鵬の不思議なショーが始まった。

 肩を揺らし上半身の力を抜き、さあ来いよ、と言わんばかりに大きく胸を広げた。私は「えっ猪木?」と首をかしげてしまった。笑いすぎて「無理無理! もう勘弁して」と叫んだころ、貴景勝は白鵬の胸に吸い込まれていった。

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