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他社製品ためらわず薦める? 会員急増させるメニコン店長の「心ほぐす」接客術

8/5(土) 16:10配信

NIKKEI STYLE

メニコン 伊藤直樹さんの「売れる営業 私の秘密」

 名古屋駅前の複合ビルに入るメニコンの店舗は、8階にもかかわらず週末には1日に100人を超える利用者を集める。店長の伊藤直樹さん(45)が先頭に立った接客のたまものだ。必要以上にも映る丁寧な会話で相手の気持ちをほぐし、最適なコンタクトレンズを提案する。2016年8月に店長になってから新規の会員数は前年を1割上回っている。

 複合ビル「ミッドランドスクエア」(名古屋市)の8階フロアの一角に、面積が60~70平方メートルほどのメニコンの店がある。6月にコンタクトレンズを買いに訪れると、平日にもかかわらず多くの人が待っていた。

 コンタクトレンズの販売店は診療所を併設し、医師の診断を受ける。店で受け付けをした後、順番を待つ。ここが伊藤さんの時間だ。呼ばれてカウンターに足を運ぶと「ダイビングですか? いいですね。どのあたりに行かれるんですか」。伊藤さんはすぐには本題に入らない。友達と話すかのようだ。

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 話し始めてから10~15分たった頃に商品の話に移った。欲しい使い捨て型の商品を言うと、「その商品は会員にならないと購入できないんです。お客様の使用頻度ならこちらの方が良いと思います」と実物の封をあけて指にのせ、特徴を細かく説明された。

 使い捨てでは2週間タイプの方が安いが、毎日の手入れが必要。生活スタイルを聞いて手入れが難しそうだと察して1日タイプを薦められた。その後、診察を受け、他社製品も含めて約40種の中から伊藤さんに薦められたメニコンの「Magic」を買った。

 伊藤さんは時に30分ほど話し込む。コンタクトレンズの販売店の店員は診療を待つ利用者に話を聞くが、主に目の状態や使用中のメガネやレンズのこと。ここまで長く話すのは珍しい。

 伊藤さんは自分の仕事を「コンサルティング」と呼ぶ。あくまで提案にとどめ、顧客が好めばためらわず他社の商品も薦める。

 「どんな場面で、どの程度の頻度で、どれくらいの予算で。まずリラックスしてもらってこれらの情報を引き出す」。レンズを買う動機は日々の暮らしやすさだけではなく、運動やレジャー、色をつけて美のアイテムにも使う。利用シーンを具体的に想像していく。

 7人いる店員に目を光らせながら接客の先頭に立つ。話に時間をかける分、事務処理などに割く時間はできる限り減らし、手が空いたら次の利用者にすぐに声をかける。追われるような毎日だが、待っている利用者を思えば苦ではない。

 この店は思い出深い。06年に入社すると、開店要員として配属された。開店すると30日間連続使用が認められたハードコンタクトレンズの新製品「メニコンティニュー」を武器に利用者をつかみ、約40ある直営店でこの製品の最大の売り上げを記録した。

 09年に名古屋市千種区の店長に抜てきされた後、金沢市の店で群を抜く売り上げをたたき出してきた。この過程で話術を磨き、店長として戻ってきた。路面店ではないのでふらりと立ち寄る人は見込みにくいが、1日80~100人が訪れる。伊藤さんのファンがいるためだ。メニコンの会員制度「メルスプラン」の入会者数は前の年に比べて10%増えているという。

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 午後7時半の閉店後は数十分かけてその日のトラブルや良い接客などを共有する。本社からの最新情報には必ず目を通し、月1回ほどの勉強会に出て情報を更新する。商品によっては急きょ店舗で勉強会を開くこともある。

 店はより広い商品群を扱う「Menicon Miru(メニコン ミル)」にこのほど生まれ変わった。伊藤さんの話術が光る場面が一段と増えそうだ。
(長縄雄輝)
[日経産業新聞2017年7月12日付の記事を一部再構成]

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最終更新:8/5(土) 16:10
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