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米国はこのままだと年末に大変なことになる

8/5(土) 6:00配信

東洋経済オンライン

 いやいや、これはもう迷走と言うしかありません。

 米国の大統領選挙戦勝利の功労者である、ラインス・プリーバス首席補佐官をクビにし、さらに新たに指名した友人であるアンソニー・スカラムチ広報部長もわずか10日でクビにしました。

■「今まで何をやっていたのか」と言われても仕方ない

 これまでの閣僚メンバーはすべて経済界では実績のある人たちと軍人が中心で、いずれにせよ、政治的には全くの「シロウト集団」で、議会との調整がまったくできていません。

 元来、上下院ともに共和党が占めているので、今頃はさまざまな法案・・・例えば「オバマケア」の廃止や減税・・・などがとっくに決まっているはずなのに、事実上何もできていないという「ていたらく」は目を覆うばかりであります。

 ワタクシが知っている(1987年に一度仕事をした)ドナルド・トランプ(現大統領)氏は極めて優秀な男で、ビジネスマンとしては素晴らしい資質を感じさせました。しかし、結局、何でもかんでも自分一人で決められるビジネスの世界(ウォールストリート=ニューヨーク)と、さまざまな利害が絡むので根回しや調整が必要な政治の世界(ワシントンDC)は全く別世界ということでしょう。

 そのあたりを学習する時間はもう十分に与えられていたはずで、その意味では「今まで何をやっていたのか」と言われても、仕方がありませんね。

 市場を見ると、絶好調のマクロ経済に加え、特にIT系企業の決算がすさまじく良いため、そちらを重視してこの「トランプリスク」には目をつぶった格好であります。つまり良いことも悪いこともこの政権は何もできない、と見切った格好になっているのですが、これ以上政権が混乱すると、そうも言っていられないような気がします。

 例えばデットシーリング(債務上限)の問題はバラク・オバマ政権下でも何度もぶつかった問題ですが、「ガバメントシャットダウン(政府機関の閉鎖)などは絶対にない」、とワタクシは言い切っていました。オバマ大統領(当時)の指導力があれば、議会で民主党の議席が少ないといえども、絶対に調整が可能だと確信していたからです。

 しかし、このトランプ政権においては、上下院で共和党がいくら主導権を握っているとはいえ、現実には共和党内部すら、説得できていないわけですから、次回(今年末)この問題が出て来た時に、本当に対処できるのかどうか、極めて心配であります。

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