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なぜサニブラウンはオランダ修行に?国の枠を越えて才能を集める強化策。

8/5(土) 9:01配信

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 陸上の日本選手権で100m、200mともに自己ベストで2冠を達成したサニブラウン・アブデルハキームのニュースを目にするたびに、「なぜオランダ?」と思われている方は多いのではないだろうか。

 サニブラウンは1月からオランダ陸連の短距離チームを指導する米国人コーチ、レイナ・レイダー氏の指導を受けて今季大きく飛躍した。日本選手権で2冠を達成し、ロンドン世界陸上への切符を手にした。

 サニブラウンはロンドン世界陸上後に米国フロリダ大学へ進学するが、米国学生スポーツ協会(NCAA)の規則により、入学前に大学のコーチに指導を受けることはできない。日本にとどまる選択肢もあったが、入学前に語学力をつける必要性から、そして高いレベルで練習を積むために海外コーチに師事する決断をし、1月にオランダに向かった。

オランダが外国人選手を受け入れる理由とは。

 サニブラウンの今季の活躍の陰には、2人のキーマンが存在する。1人は前述したレイダーコーチ。もう1人はオランダ陸連強化委員長のアド・ロスカム氏だ。

 サニブラウン陣営がレイダーコーチを選んだのはいくつか理由がある。高校、大学、そしてプロチームで指導経験がある点、技術的に優れたコーチングに定評がある点、そして年齢や性別が異なる選手を指導している点などがあげられる。

 米国にあるクラブチームやプロチームも候補に挙がったものの、郊外を拠点にするチームも多く、安全性や車なしでの移動の難しさを考えると、オランダ行きが最善という結論に達した。

 2015年世界ユースや北京世界陸上の動画を見たレイダー氏はサニブラウンの才能を見込んで、すぐに指導を快諾。その後ロスカム氏にサニブラウンの受け入れを相談し、ロスカム氏もチームへの加入を最終的に許可した。

 オランダ陸連の専任コーチがオランダ以外の選手を指導していることに違和感を持つ人もいるかもしれないが、それもロスカム氏の強化策の一環だ。

バートレッタなど超一流がオランダに続々と集結。

 当然レイダーコーチの仕事はオランダ選手の強化だが、海外選手の指導も認められており、現在は北京世界陸上200m金メダルのダフネ・シパーズなどオランダ選手8人のほかに、三段跳で五輪連覇のクリスチャン・テイラー(米国)、リオ五輪で走幅跳金メダルのティアナ・バートレッタ(米国)、北京世界陸上女子走幅跳び銀メダルのシャラ・プロクター(英国)をはじめ、海外選手7人を加えて合計15選手を指導している。

 「オランダの選手がレベルの高い海外選手と練習することで、いい刺激がもらえると思う。常に世界を感じながら練習できるのは大きい。また海外選手にはオランダ選手がステップアップできるように手助けしてほしいと思っている」とロスカム氏は期待を寄せる。

 その言葉通り、オランダの選手たちは日々高いレベルの選手と練習できるほか、ベテランの海外選手は練習中に若い選手にアドバイスしたり、調子が良くないときは励ましたり、メンター的な役割も果たしている。レイダーコーチの指導する8選手中7人がオランダ代表権を獲得したように、ロスカム氏の強化策は順調だ。

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最終更新:8/5(土) 9:01
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