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債券バブルに警鐘 グリーンスパン氏の「ニューエコノミー」再び?

8/6(日) 6:10配信

オトナンサー

 経済ニュースで懐かしい名前を見かけました。1987年から2006年までの長きにわたって、米連邦準備制度理事会(FRB)議長を務めたアラン・グリーンスパン氏です。同氏はインタビューで「あらゆる尺度で見て長期金利は低過ぎであり、それゆえ(その水準は)持続不可能だ」「株価ではなく債券価格がバブルであり、市場はそのことに気づいていない」と語りました。

 6月25日の「長期金利が低下…米債券市場では何が起きているのか」で、2000年代半ばの利上げ局面で長期金利が低下したことに関して、当時FRB議長だったグリーンスパン氏が「コナンドラム(謎)だ」と述べたエピソードを紹介しました。今度は、同氏がリアルタイムで、現在の長期金利が低過ぎると警鐘を鳴らしたわけです。

かつて「根拠なき熱狂」で株高に警鐘

 株高について同氏は、長期金利が低水準であるためバリュエーション(価値評価)の面から正当化されるとの立場のようです。もっとも、長期金利が低過ぎると考えている以上、その修正で長期金利が上昇(急騰)すれば、株価が調整(急落)してもおかしくないとは考えているでしょう。

 グリーンスパン氏といえば、株高に警鐘を鳴らした「根拠なき熱狂」というセリフが有名です。1996年12月の講演で「根拠なき熱狂が、正当化できる以上に資産価格を上昇させ、予測不可能かつ長期的な下落につながりかねないことを、私たちはどうやって知ることができようか」と述べました。日本の平成バブル崩壊を念頭に置いたものでした。

 同氏の警鐘にもかかわらず、株価はその後も3年以上にわたって上昇を続け、その間IT株中心のナスダック総合指数は4倍になりました。それだけ、相場の天底のタイミングを判断するのは難しいということです。

「ニューエコノミー」は繰り返すのか

 ただ、グリーンスパン氏にとって痛恨だったのは、警鐘を鳴らすタイミングが早すぎたことではなく、その後に変節したことではないでしょうか。

「根拠なき熱狂」の後もたびたび警鐘を鳴らしていた同氏は、IT革命による経済構造の変化に関する「ニューエコノミー」と題する講演で、株高を肯定する発言を行いました。「構造的な生産性の伸びが企業収益に関する長期的な高い期待を生んでおり、それは驚くにあたらない。そして、その高い期待が株価を引き上げている」と述べたのです。

 この「ニューエコノミー」講演が行われたのが2000年3月6日。そして、ナスダック総合指数が史上最高値を付けて80%の下落を開始したのが、そのわずか4日後でした。最も懐疑的な人(投資家)が強気に転じざるを得ない状況になった時が、往々にして相場の天井ということでしょう。

 同様のことが繰り返されるならば、グリーンスパン氏が降参して低金利を肯定した時こそ債券バブルが崩壊するかもしれません。同氏がFRB議長を辞してから10年以上が経過しています。FRB議長という公人ではなく、私人となった同氏の見解を次にいつ聞くことができるのか、残念ながらわかりません。

株式会社マネースクウェア・ジャパン チーフエコノミスト 西田明弘

最終更新:8/6(日) 6:10
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