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築350年の古民家「鈴木家住宅」の“開かずの間”が開くとき

2017/8/6(日) 19:10配信

サライ.jp

文・取材/山内貴範

秋田県羽後町の飯沢地区にある、築350年の歴史を持つ茅葺き民家「鈴木家住宅」。江戸時代初期に完成した主屋は、東北地方でも有数の歴史を持つ民家とされ、主屋と土蔵、さらには土地までもが重要文化財に指定されている。

現在も鈴木家の当主一家が居住する“現役”の民家として貴重な存在だが、この民家には現在も“開かずの間”があるという。第46代当主・鈴木杢之助重廣さんはこう話す。

「その部屋は“バケモノザシキ”といいます。我が家はたびたび増築を重ねているのですが、もっとも古いとされる、主屋の奥にある空間です」

鈴木さんの先祖は、源義経に家来として仕えた鈴木三郎重家とされる。バケモノザシキの起源は、どうやら、祖先に由来する伝説のようだ。

「落ち武者たちをかくまった部屋と言い伝えられています。そもそも、鈴木三郎重家自身が、奥州平泉で義経が敗れたあとに落ち武者となって、羽後町までたどり着いたとされます。そうした縁もあって、たびたび当家を頼って訪れた者が多かったのでしょう」

鈴木さんは決して霊感が強くないそうだが、これまで見学に訪れた人のなかで、“何かいる”と感じた人も少なくないのだとか。

普段は固く閉ざされているバケモノザシキだが、8月13日~15日のお盆の時期に限り、盆供養の一環として特別公開される。内部には神棚が祀られているそうだが、取材陣が訪れたのはお盆以外の時期ということもあって、残念ながら内部を確認できなかった。

鈴木さん自身、子ども時代に、親から襖をあけてはいけないと言い聞かせられて育ったそうだ。そのため、お盆以外は、当主といえども決して襖をあけることはないという。歴史ある民家ならではのミステリアスな空間といえるだろう。

今年も1年に1度の公開日が近づいてきた。いったいどんな部屋なのか。怖いもの見たさで、夏の秋田・羽後町を訪れてみてはいかがだろうか。

※なおこの「鈴木家住宅」では「西馬音内(にしもない)盆踊り」が開催される8月16日~18日に限り、1人5,000円~宿泊が可能。宿泊可能な日はバケモノザシキの公開は行なっていないが、重要文化財の民家は一見の価値があるので、滞在してその空間を堪能したい。詳細については下記へ問合せされたし。

【鈴木家住宅】
所在地:秋田県雄勝郡羽後町飯沢先達沢52
電話:0183-68-2913
営業:9時~17時(居住しているため来場の際は電話予約が望ましい)
休み:不定休
入館料:500円
アクセス:JR湯沢駅からタクシー約40分。公共交通手段はありません。

文・取材/山内貴範
昭和60年(1985)、秋田県羽後町出身のライター。「サライ」では旅行、建築、鉄道、仏像などの取材を担当。切手、古銭、機械式腕時計などの収集家でもある。

最終更新:2017/8/6(日) 19:10
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