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今年は「渡部篤郎」が痛い目に遭った「夏ドラマ」の法則(TVふうーん録)

8/6(日) 8:00配信

デイリー新潮

 7月期ドラマは「夏枯れ」と業界では言われているらしい。確かに微妙な作品が多くて困っている。が、個人的に夏ドラマでひとつだけ法則を見出した。夏には必ず40~50代の俳優が痛い目に遭わされるのだ。2012年は豊川悦司、2013年は織田裕二、2014年は柳葉敏郎、2015年は堤真一、2016年は時期がちょいずれるが唐沢寿明。作品名は割愛するが、オジサンが世にもひどい作品の主演で、目も当てられない状況に陥るのだ。ある種のオヤジ狩りとも言える。

 今年のいけにえは誰かな♪と、ほくそ笑んでいたら、なんと渡部篤郎だった。「警視庁いきもの係」である。

 捜査一課の刑事だった篤郎は何らかの策略によって銃撃され、頭部に弾丸が残留している。なぜか日曜夜9時は「ごめん、愛してる」(TBS)と、主人公の頭部に弾丸残留系対決となっている。どっちもかよ! 

 もとい、篤郎は敏腕刑事として活躍した一課時代の記憶がすっぽ抜け、窓際部署へ追いやられている。それが警視庁総務部総務課動植物管理係、要は生き物係だ。この発想は新しいよね。

 で、ここには獣医学を専攻した毛色の異なる新米巡査・橋本環奈がいる。環奈、めっちゃ可愛いな! 同じ星の生き物とは思えない可愛い顔、そしてイマドキの10代とは思えないぷっくぷくした体型。おばちゃんはそういう娘が大好きよ。だしも出ないカッスカスの鶏ガラみたいな体型よりも、幼児だか中年だかわからない体型のほうが愛らしいし、ドラマには必須。どうかこのまま痩せないで、と願う。

 篤郎と環奈のコンビが動物絡みの案件を解決していくのだが、共通言語がないふたりの温度差が意外と面白い。篤郎がオヤジギャグで滑る、環奈が氷点下対応でスルーするのが定番に。

 篤郎を敵視する捜査一課の刑事に長谷川朝晴。しかし環奈にメロメロというロリコンウザキャラだ。ちょいちょい小芝居もやらかす。

 また、篤郎に憧れ、やたらと距離が近い巡査を、歌のお兄さんだった横山だいすけが演じる。ほかにも定年退職後、暇つぶしにやってきて、昔の自慢話を延々垂れ流す元刑事のでんでん。

 彼らの登場シーンは実に雑。途中でブツ切りされたりもする。ウザさを表現するためだ。周囲をウザキャラで固めるのは、篤郎の二枚目要素と本筋の重厚さを忘れさせないためである。

 頭部弾丸残留&記憶喪失というシリアスな面、オヤジ扱いされるコミカルな面、そう、篤郎の二面性をバランスよく映し出すことが大切なのだ。なのだが、どっちつかずで、まさかの相殺。冒頭「夏のいけにえ」感ね。

 エンディングでも最初は渋い面でダンスを拒否、しかしサビに入った途端、にこやかに踊る篤郎。篤郎の半ば諦観が混じる笑顔のダンス、これは日曜夜の酒の肴だ。酒の味が切なくなる。

 ちなみにフジテレビ内に貼ってあるポスターは好き。オープニング映像も伊藤若冲の「鳥獣花木図屏風」オマージュの動物画で綺麗だ。

 もふもふの動物に釣られてうっかり観ると、別の意味で新たな発見があるかも。

吉田潮(よしだ・うしお)
テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビ番組はほぼすべて視聴している。

「週刊新潮」2017年8月3日号 掲載

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最終更新:8/6(日) 8:00
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