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【深海生物、恐竜、王蟲ファン必見】地球最古の王・アノマロカリスが可愛すぎる

8/6(日) 10:00配信

Book Bang

──では本書に登場する中から、土屋さんの好きな生物ベスト5を教えてください。

一番好きな生物、今猛烈にプッシュしているのは、何をおいてもアノマロカリスの仲間たちです。まず、触手が2本、大きな目、ナマコのような体でひれが横に並んでるという形が面白い。

そして何よりも、生命史のなかで生存競争が活発化した時に最初に頂点に立ったのがこのコで、そこからどう変遷していったかというのが面白い。戦国時代でいう織田信長みたいなものです。最初に天下を取って、でも最終的には取れなかった。

てっきりアノマロカリスの認知度は高いものだと思っていたんですが、1月に別の本のトークショーをやった時に知らない人が全体の1/3くらいいたんです。で、「こんな面白いものを何で知らないの?」と猛烈にプッシュしています(笑)。

2番目は表紙に出ているイノストランケヴィアです。古生代の最後の頂点をとったのがゴルゴノプス類というグループなんですが、その中で一番大きいのがこのイノストランケヴィア。これは哺乳類の親戚みたいなやつ。恐竜の直前は我々のお友達が世界の覇権を握っていたという象徴的な存在です。

3番目も表紙に上がっているティクターリクです。これは私がというよりは、多くの古生物学者が注目しているやつです。魚なのに腕立て伏せができる、つまりそれぞれの腕に骨と関節がある。サカナから陸上の四足動物が誕生する進化の中での重要なキーキャラクターです。これは押さえておかないと! 

4番目は三葉虫類というグループ。三葉虫類は古生代の最初から最後までいて、しかも一貫して生態系の底辺なので、弱い立場なんです。どうやって必死に時代をクリアしていったのかが如実に形に現れているので、見ていて面白い。3億年間の歴史を物語っている。よく知られている三葉虫っていうのはワラジムシみたいな形ですが、それは本当にごく一部で、目がタワーになってるもの、長いフォークのような角を持っているものなど、形がその時々の捕食者の圧迫を受けて変化しているので、生命の進化という点でも重要です。

5番目は、純粋にサイエンスライターとして重要ですよと皆さんに呼びかけているもので、板皮類(ばんぴるい)。魚のグループです。ここ最近データの追加が著しい。昔はダンクルオステウスという甲冑魚みたいなのしかいなかったんですけど、最近になって胎児がいたり、へその緒が確認できたり、脊椎動物としては史上初の体内受精をしているとか、 「お前たちこんなネタも持ってるの?」というのが次から次へ出てきています。

──研究者の間でホットな話題はありますか。

この数年神経の研究が進んで、カンブリア紀の動物で脳とか視神経が確認できるようになってきた、そういう手法が確立してきたんです。 今回ご協力いただいた金沢大学の田中源吾さんはまさにそうした研究もされています。カンブリア爆発が起きた時に既に神経は完成していた、そうするとダーウィンの進化論の考え方でいけば、 それ以前に原始的な神経を持っている生物がいたんじゃないかと。次はそいつらの化石を探せ! ということなんです。

硬組織化によって化石が残りやすくなったのがカンブリア大爆発で、それ以前は体が柔らかいから化石に残りにくかったんですね。化石に残りにくいものを化石で証明しなければいけないということは難しい。でも世界のどこかには、常識的には残らないような化石でも残る地層があるかもしれません。

──最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

恐竜は知っているけれど、それ以外の古生物を知らなかった方々にぜひ読んでいただきたいです。もっと面白いものありますよ、是非こっちの世界も見てくださいと。

既に知っているけれど更にもっと古生代を知りたい! という、情報に飢えている愛好家のみなさまには、是非布教用に役立ててほしいと思います。この本は、素晴らしいイラストに、手持ち感覚といい値段といい、色んな意味で布教に最適だと思うので、何なら飲み会や合コンの席で出して話してください、読み終わったら本棚にしまうのではなく、しれっと職場の休憩室や棚に置いておくとか、カバーむき出しで電車で立ち読みしていただくとか(笑)。

ファンだけで独占しないで、この面白い時代、面白い生物たちのことを共有していってほしいと切に願っています。みなさん古生代を一旦知ると好きになってくれるんですよね。これからも古生代、アノマロカリスの認知度をあげたいと思います。知られれば愛されるコです! ぜひSNSで広めてください(笑)。

──インタビューに使わせていただいたのは、土屋さんのオフィスの打ち合わせ用ルーム。たくさんの化石やレプリカが並んでいて、古生物の素人でもテンションが上がりました! こんな場所で土屋さんの生のお話を聞いたら興奮しちゃいますよね……。

講談社 2017年8月6日 掲載

講談社

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最終更新:8/6(日) 10:00
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