ここから本文です

国際商品、投資の好機は 「順・逆ザヤ」軸に先物分析

8/7(月) 7:47配信

NIKKEI STYLE

 原油や金といった先物市場で取引される多様な国際商品が、上場投資信託(ETF)や上場投資証券(ETN)の登場で個人にとっても身近な投資対象になった。投資先を株や債券から分散させることで運用収益の変動リスクを抑える効果があり、企業年金の一部も投資をしている。どのような状況なら投資の好機と判断できるのか、先物市場での決済価格同士の比較を軸にまとめてみた。
 国際商品投資の特性は、伝統的な運用資産の株式や債券と比べ値動きの関連性が低く、収益を増やす機会が広がる点にある。商品投資が日本以上に活発な米国では、ペンシルベニア大に在籍していたゲーリー・ゴートン教授らが2004年にまとめた研究成果でも裏付けられている。
 1959年から04年までの間で、商品と他の投資先の値動きの相関係数(プラス1は値動きが一致し、マイナス1に近いほど正反対に動く)をみると、株に対しては5年平均でマイナス0.42。債券でもマイナス0.25という結果だった。値動きの方向性が違う資産に分散投資をすれば全体の損益が一方向に過度に振れることを防ぐことができ、資産の目減りリスクを和らげることにもつながる。
 かつては、商品投資の手段は証拠金の数十倍もの金額を運用する先物市場での取引にほぼ限定されていた。2000年代半ばには、損失の想定以上の拡大リスクを抑えた商品が開発された。原油や金を投資対象に組み込み、原則としてこれらの価格に連動するように運用するETFやETNが相次いで登場した。

■少額での購入可能

 個人は先物に直接投資する場合に比べて少額で購入でき、価格の乱高下による影響も緩和される。現在、東京証券取引所では34本の国際商品関連のETFやETNが上場している。
 先物市場での運用も、ETF経由での投資でも、国際商品そのものの値動きが収益に直結する点は共通する。価格動向のカギを握る需要と供給の現状や予測は、新聞でのニュースや業界団体の公表データ、アナリストリポートなどで情報収集ができる。

 このほか先物市場で、決済期限(限月)が近い価格(期近価格)が、期限が遠い価格(期先価格)よりも高いか安いか、という点に注目する分析も、意外に簡単だが重要な判断方法として長らく利用されている。期近が期先を下回れば順ザヤ、上回れば逆ザヤという。
 穀物などの商品は保管のための倉庫代や金利がかかる。決済期限が先になるほど、短い期限の価格に比べて高くなることが一般的だ。つまり順ザヤの状態にある。

 では逆ザヤの場合はどうか。「通常は在庫が少なく、現物需給が引き締まっている」(本間隆行・住友商事グローバルリサーチ経済部長)ことを意味する。現物の需要が供給を上回り品薄感が出ると、将来よりも現時点で現物を持つメリットが大きくなり、期近になるほど期先より強含むためだ。目先の地合いの強さを示すサインといえる。
 順ザヤか逆ザヤかは、各限月ごとの先物価格を結んだ線(先物曲線)をみれば、より明確に判断できる。値によって出っ張りやへこみが生じるが、順ザヤでは右肩上がり、逆ザヤでは右肩下がりになりやすい。
 具体例をみよう。ガソリン車の排ガス触媒に使う貴金属のパラジウムは、主産地ロシアからの供給減少を背景に現物の品薄感が春以降に強まった。指標となるニューヨーク市場の先物曲線の形状を図に示してみた。今年初めに期近が期先よりも1トロイオンス当たり約2ドル安い順ザヤだったが、次第に曲線の右肩上がりのカーブがなくなり、6月半ばには逆ザヤに陥った。曲線は右肩下がりに変わった。

1/2ページ

最終更新:8/7(月) 7:47
NIKKEI STYLE

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ライフスタイルに知的な刺激を。
生活情報から仕事、家計管理まで幅広く掲載
トレンド情報や役立つノウハウも提供します
幅広い読者の知的関心にこたえます。