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【解説】「奇跡の恐竜」は新種と報告、体の色でも身を守ったか

8/7(月) 17:25配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

ボレアロペルタと命名、カムフラージュ説には異論も

 ナショナル ジオグラフィックが2017年6月号で報告した「鎧をまとった奇跡の恐竜」がこのほど新種として論文に記載され、8月3日付の学術誌「カレントバイオロジー」に発表された。

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 新種恐竜に与えられた名前は、ボレアロペルタ・マークミッチェリ(Borealopelta markmitchelli)。ノドサウルス類と呼ばれる草食の鎧竜で、重さはおよそ1.3トン、今から約1億1000万年前の白亜紀に生息していた。

 この恐竜化石は、これまでに見つかっている同グループの化石としてはきわめて良好な状態を保っている。現在のカナダ・アルバータ州に当たる場所で、死んだ後に海に流され、体が仰向けになった状態で泥の多い海底に沈んだ。そして、体の前半分が驚くほど細部まで保存された。

 2011年に化石が偶然掘り出され、今年5月にアルバータ州のロイヤル・ティレル博物館で公表されると、あっという間に話題となった。鎧竜の解剖学的構造と生活について、前例のない手がかりを世界中に提供したのだ。

「美しい標本です」と話すのは、ロイヤル・オンタリオ博物館の研究者ビクトリア・アーバー氏。やはり保存状態のよい別の鎧竜、ズール・クルリバスタトル(Zuul crurivastator)を研究している。「この化石やズールのような標本に恵まれるのは素晴らしいことです。生きていたときの姿を思い描けますから」

 今回の論文では、恐竜の名前を発表しただけでなく、その秘密をこれまで以上に解き明かしている。「これは特別な化石になると、6年前からわかっていました」と、ロイヤル・ティレル博物館の学芸員であるドナルド・ヘンダーソン氏は話す。「どれくらい特別かは、わかっていませんでしたが」

7000時間におよぶ作業

 ボレアロペルタにとっては長い旅だった。地中での孤独な眠りに日が当たったのは、2011年3月21日のこと。エネルギー企業サンコア社が経営するオイルサンド鉱山で、重機オペレーターのショーン・ファンクさんが化石に行き当たった。

 その後、化石はロイヤル・ティレル博物館の作業場に移された。続いて、技師のマーク・ミッチェル氏が、周囲の岩石を細心の注意を払って取り除いた。実に7000時間以上、6年近くをかけた偉業だ。頭部だけでも、岩から取り出すのに8カ月もかかった。

「ミッチェル氏の働きがなければ、ボレアロペルタの姿が明らかになることはなかったでしょう」と話すのは、同博物館の研究者で今回の論文の筆頭著者であるケイレブ・ブラウン氏だ。「桁外れの労力です。こうした作業場の技師たちは、往々にして無名のヒーローです」

 発表された論文は、この恐竜が新属新種であることを確認。「マーク・ミッチェルの北方の盾」を意味する学名が与えられた。化石を岩から解き放った技師、見事に保存された装甲、そして恐竜の眠っていた場所を表す名前だ。

「学名を知ったときはとても興奮しました」とミッチェル氏。「両手を高く上げて喜びましたよ」

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