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【月刊『WiLL』(9月号)より】東芝買収でF35の最高機密が中国へ

8/7(月) 9:00配信

WiLL

ターゲットの東芝メモリ

 日本の半導体技術は、1990年代から中国共産党によって長期的な戦略の下で狙われている。半導体は「産業の米」と呼ばれ、コンピューター、家電に留まらず、自動車から果ては軍事産業にまで密接に結びついているからだ。
 震災や水害などでの半導体工場被害を振り返れば分かるように、半導体チップの自動車メーカーへの影響が非常に大きい。自動車は部品一つ欠けても出来上がらないうえに、半導体チップは参入障壁が高く、簡単には代替がきかないためだ。
 日本経済の一割を支える自動車メーカーにまで打撃が広がれば、被害は日本政府の租税収入約80億円の一割にまで及ぶ。だからこそ、中国は日本の国力弱体化を狙って「超限戦」(中国が考える新しい戦争のかたち)における「経済戦」の一環として日本の半導体企業を狙っているのだ。
 無論、デュアルユース(軍民両用)技術等は、外為法(外国為替及び外国貿易法)で規制されているので中国が直接手を出すのは簡単ではない。
 だからこそ、中国は、台湾や韓国を抜け穴に利用している。その戦略の一部が解放軍に技術提供を行なっている鴻海精密工業(FOXCONN)によるシャープ買収だった。共産党の狙いはシャープの太陽光発電技術と、次世代型ディスプレイOLEDの技術だけでなく、軍用や車載に必要なディスプレイ企業を日本から奪うことによって、技術的・経済的に日本を追い詰めようとしている。
 東芝問題の最大のリスクは、半導体を押さえれば、その国の産業を支配できるという点を中国共産党は熟知しているのに対して、我が国の政府は完全に見落としているということだ。
 鴻海によるシャープ買収時のメディアによるデタラメ報道たるものや本当に酷く、「技術の無い会社だから仕方がない」という論調がまかり通り、世論が中国側へ有利に誘導された。
 M&A業務を一度でも経験すれば分かることだが、価値のない会社を買収するお人好しはこの世界にはいない。シャープには価値があり、政府系ファンドによる介入が行なわれようとしていたのだ。
 ところが、そのタイミングで、公正取引委員会が「公的再生支援に関する競争政策上の考え方」を発表し、政府介入を妨害してシャープを鴻海へ売却するように導いてしまった。公取委が不可解だったのは、公正な市場競争が重要と政府介入をけん制しながら、鴻海が独占禁止法違反に明らかに抵触するガンジャンピング行為(結合実行前に当事者間で協調的な行動をとったり情報交換をしたりすること)を行なったことに関して、筆者が「意見の申し立て」書面を送ったにも関わらず、迅速な調査すら行なわず、「鴻海は問題なし」とダブルスタンダードによる法の運用を行なった点である。
 公取委に反対され、メディアに世論までミスリードされ、国民の理解を得られなかったために、政府主導によるシャープ再建という最善策を採ることができなかった。そのため、シャープは考えられないほど安値で鴻海の手に渡ってしまったのである。
 それは、グローバルな視点を欠いたまま「銀と金の交換比率」を安くし過ぎた幕末と同じく、日本人の経済音痴を露呈する恥ずべき事態を繰り返したのだ。

《続きは本誌にて》

深田萌絵(アナリスト)

最終更新:8/7(月) 9:00
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