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トラブルが消えれば再訪したい国

8/7(月) 12:12配信

Wedge

 イエメンでコレラが大流行しているという報道が一度ならずなされている。そんな国、知らないといわないでほしい。モカマタリの原産国だ。コンビニ珈琲の台頭で、日本は世界有数の珈琲消費国になっている。モカ珈琲を飲む手を休めて聞いてほしい。

 コレラの原因は、先年チュニジアで始ったアラブの春の余波でおきたクーデター以降、内戦が続いているのと、隣国サウジアラビアの軍事介入よる治安の悪化であろう。イエメンの都市の町並みは500年ほど前に完成している。欧州ではその後、ペストの流行で各種の工夫がなされたが、果たしてイエメンでは外観は美しいが排水など弱点を抱えていることであろう。日本と同様に銭湯もあるが、その後の様子は知らない。チャーミングな国でもあるが、驚愕もある。

 男性のほとんどが、短剣を腹につけて、更にその多くがカートと呼ばれる覚醒する草を口に入れているから恐ろしい。夜祭りなどでのダンス場面では、刀を抜くが、諍いなどで抜刀した場合、名誉のためにデスマッチとなるそうだ。

 タクシーの運転手もカート切れで町外れのカート売りを見つけて安心したかのように運転を続けているのをみてやや不安になる。今ではG20のメンバーとなった大国で隣国サウジアラビアが建国された当初、人材は地域の文明国イエメン、イラン、シリアなどにたよっていた。その場合、日本でも人の名に地名をつけて清水の次郎長などと呼んだように、オイルショックのころ日本でも勇名をはせたサウジアラビア石油大臣は先祖がイエメンから来たのでヤマニ(イエメニ)石油相として出身を姓としている。

 また、こちらも有名なオサマ・ビンラーデンのビンラーデン家も三代前にイエメンからサウジアラビアに文無し状態でやって来て、現在はサウジアラビア有数の資産家になっている。そんな関係の二国だが、残念ながら近年武力衝突をしているのだ。

 イエメンは緑深く山がちでアラブ・ユダヤなどのセム語族の源流といわれている。源流と呼ばれるだけあり歴史遺産も多い。歌にも歌われた、シバの女王が建設したダムの遺構をみたことあるが、これもイエメンの山中だ。同じような逸話が、アフリカサイドもあるようだが、ダムがイエメンに存在しているのでこちらが本家であろう。すなわちノルマンディー公による英国征服のように両サイドを統治していたのだろうか。とにかく、アフリカの角まで近い。イエメンからアフリカ大陸は、目と鼻の先で、泳いでも渡れる20キロ程度で目視ができる。

 ところで、安倍首相は世界の国々を既に多数訪問しているが、さすがイエメンに行ったとは聞かない。日本の首相の訪問はあったのだろうか。かつて船で渡英したころ、伊藤博文をはじめ吉田茂も、詩人ランボーが勤務したイエメンの港町アデンは、スエズ運河を通る船は必ず寄航した。さすれば伊藤博文も吉田茂も上陸したことであろう。在任中の首相訪問は聞かない。

 近年の大物政治家の来訪で有名なのは、フランスのミッテランであろう。首都サナーは標高2200m以上なので、コンコルドの離着陸が危ぶまれたようだ。大物のイエメン訪問は無事終わったが、中堅産油国となったイエメンへのフランスの臭い付けであったのだろう。

 時々パリのシャンゼリゼ通りに見知らぬ旗が飾られ、警察が動員されることがある。そんな場合の多くは、資源国の元首の来仏だ。ことほど左様にミッテランのイエメン訪問はフランス的であった。

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最終更新:8/8(火) 18:33
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