ここから本文です

日本企業の会議がダメなのは「落としどころ」を想定して臨むからだ

8/7(月) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 海外のビジネスマンと会議をして最初に気がつくことがある。多くの日本人ビジネスマンは最初に「落としどころ」のイメージをもって会議に臨むが、そんなことをするのは日本人だけだ。日本人から見ると、最初はどうしようもないように思える国際会議が、最後に素晴らしい成果を生むのは、会議に臨む人たちの発想法の違いにある。(アクセンチュア マネジング・ディレクター 中野豊明)

● インド人社員らが お気に入りの冗談

 インドのバンガロールにあるアクセンチュアの巨大なビルで、国際会議を行った時のこと。

 その会議には世界中から数多くのインド人が集まっており、多数のインド人と話をした。そのうちの何人ものインド人が私と初めて会話をする時に「何か仕事があるとする。それを誰かができるなら自分もできる。『誰もできないなら、自分がやらねばならない』というのが日本人だろ?インド人は、誰かができるならそいつにやらせる。誰もできないなら、ほっておく」と言って、歯並びのいい口を大きく開けて大笑いをした。

 アクセンチュアは世界で約40万人の社員がいるが、そのうち半数の20万人はインド人で、インドのみならず世界各地で活躍をしている。その世界中から集まってきたインド人たちが同じジョークを言って大笑いするのだから、インド人社会では、お気に入りの冗談の1つらしい。

 もちろん、このジョークのオチはインド人のくだりで、自虐的に自分たちを語ることで笑いを取ろうとしているのだが、数回同じ話を聞くうちは大笑いしたものの、5回、10回と聞くとちょっと違った印象を持つようになる。自分たちを笑うと同時に日本人の「自分がやらねばならない」という考え方も揶揄しているのではないか、と。

● 会議の結果を予測して 予定調和で考える日本人

 同じインド人と日本人を題材にした冗談で、「国際会議で、インド人を黙らせるのと、日本人をしゃべらすのは同じぐらい困難だ」というものがある。私自身、この冗談はインド人からは聞いたことがなく、ややカジュアルな社内研修などで、日本人が黙っていると各国のファシリテーターが日本人の発言を促すために紹介するのを耳にする。

 往々にして「自分でもできる。自分がやらねばならない」と考えがちな日本人が、グローバル会議では途端に押し黙ってしまうのはなぜなのだろうか。もちろん、英語の問題が大きいことは間違いない。しかし、決してそれだけではないだろう、というのが私の見解だ。そもそも会議や議論での発想法や思考方法がまったく異なるのだ。

 具体例を述べよう。

 各国から人が集まる会議やプロジェクトで、多くの人と議論を重ねて何かの結論やアウトプットを出すような時に、私自身よく感じることがある。それは議論の冒頭では参加者の発言が非常に幼稚だったり、見当違いだと思われたりするのに、会議の予定時間の半ばを過ぎるころになると、飛躍的にアイデアが発展し、やがて到達した結論は、会議当初には思いもしなかったような素晴らしい出来栄えになるという経験である。

 これは、日本人同士で行われる会議シーンではめったに見られない光景である。

 思うに、日本人ビジネスマンは会議や議論を始める際に、ある程度の結果、つまり「落としどころ」を予測して議論に臨むことが多いのではないだろうか。予定調和を望むため、そこに至る道筋に近い意見を尊重しようとする。すなわち、事前に「根回し」によるインプットを得て、それに同意する形で議論に参加しているケースが多いと思うのだ。

1/3ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

特集 自衛隊 防衛ビジネス
本当の実力
特集2 支持率低迷で正念場
徹底検証アベノミクス