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世界が注目する「ロボティクス家具」とは何か

8/7(月) 9:00配信

東洋経済オンライン

 大阪は南船場の地から世界に打って出ようという家具屋さんがあります。その会社の名前は「I&C」。家具といっても普通の家具ではありません。背の高さや座る位置によって電動で上下する洗面台やキッチンを扱っています。

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 そのユニークな機能とデザイン性で、この5月にはニューヨークの国際現代家具見本市(ICFF)で「キッチン部門最優秀賞」を受賞しました。また家具の聖地といわれるデンマークでも評価が高く、デンマーク外務省国家プロジェクトに選出されました。現在、デンマークのデザイナー、IT業界、自治体と連携した活動が始まっています。

■ハイテク! 電動昇降機は使う人に優しい

 「当社のコンセプトは、“人に合わせる、人に寄り添うこと”です」とI&Cの佐田幸夫社長。まだ41歳、ソフトな語り口が印象的な若い社長さんです。

 IoT、AIなどの先進技術を活用。小さな子供からお年寄り、そして車いすの人まで、使う人の身長、体勢に合わせて、洗面台、キッチン、机などが電動で上下する家具を製造販売しています。

 9年前、小学校から子供の寸法に合わせた設備を頼まれたのがきっかけです。人に寄り添う家具というコンセプトに、可能性を感じました。ボタンを押すとあらかじめ設定したストロークで上下に動く仕組み。洗面台、台所のシンク台、テーブルなどが自由に昇降します。

 コントローラーでシンクロさせて脚も同時に昇降。静かでスムーズに動き、自社開発の非接触センサーで安全性にも配慮しています。すでに病院、介護施設などを含め、1500台の納入実績があります。

 実際にこの洗面台が設置された特別養護老人ホーム(奈良県五條市)で、利用者の声を聞きました。

 「車いすで洗面するのに、洗面台が下りるので便利です」「腰痛で腰が曲げにくいが、高くなるので楽になりました」――。皆さん、毎日使うものなのでたいへんに助かる、と好評です。

 さらに、人の助けを借りずに洗面できるので、入居者たちの自立心も養えます。精神面でのケアにもいいのです。施設スタッフの方も「洗面での介助が軽減されました。その時間を重度の障害者のために活用できるのが、たいへんありがたいです」とのこと。介護の人手不足が深刻な問題となっている中、その解消策のひとつにもなっています。

 ただ、開発には苦労が多かったと言います。「洗面台の排水管の問題がありました。上下に動くストロークを確保しなければいけないので軟らかいホースにするのですが、どうしてもたるみや絡まりが生じます。いろいろ工夫した結果、カーブの部分をプラスチックにしてようやく解決しました」。

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