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パリバショック10年、世界の債務は史上最高

8/7(月) 6:00配信

東洋経済オンライン

 8月1日、金融の超緩和政策の維持を決めたオーストラリア中央銀行。シドニーの中心街にあるその本店前では、ホームレスのテントが軒(のき)を連ねている 。彼らは、必ずしも収入がないわけではない。家賃が高すぎて支払えないためだ。

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 金融危機後、シドニーの家賃は2倍以上にハネ上がり、いまや低所得者層の99%が市内には住めないという水準に達した。住居費の上昇が続き、政府は世論の批判を浴びる。それでも、豪ドル高となることを懸念して中銀は金利を上げられず、ホームレス・テントの増加が続いている 。

■不動産価格暴騰、債務の規模は人類史上最大

 8月9日でパリバショックから丸10年が経つ。その後経済は順調に回復し、米国では株価が史上最高値を更新し続けるなど、今のところ、あまり懸念要素はみられない。

 その陰で不穏な動きを見せているのが不動産価格である。価格急騰は、先に挙げたオーストラリアに限ったことではない。不動産会社Savillsの調査によれば、世界の全ての不動産価格の合計は約2京4000兆円とされている(2015年末)。BISの住宅価格の上昇率から推計される世界の不動産価格の上昇幅は、過去10年で6400兆円にも上る。

 不動産価格暴騰を招いた一因は、債務の膨張である。2016年12月末の世界の民間と政府の債務合計額は1京8000兆円。その天文学的な数字もさることながら、より深刻なのは、増加のペースである。足元ではやや落ち着いているが、それでも、この10年間で世界の債務は、GDP(国内総生産)の伸びを大きく上回る63%の増加を記録した 。

 債務膨張のペースは、国によってかなりばらつきがある。BISは昨年のレポートで、過去、GDPの伸びよりも早いペースで民間債務が膨張した国では、金融危機に見舞われやすいと指摘した。具体的には、GDPに対する債務比率のトレンド線を引き、債務の増加率がトレンド線から10%以上乖離した国では、その後3分の2の確率で金融危機か大幅な景気後退に陥ったという。

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