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森の奥の生活共同体に密着した、社会を離れて平等な楽園めざす、米東部

8/8(火) 7:20配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

 現代社会に暮らしていると、共同体に属しているという感覚は薄れがちだ。しかし、米南東部のバージニア州には、平等主義という価値観を重んじ、自然の中で共同生活を送る人々がいる。

【ギャラリー】平等な楽園めざす、森の奥の生活共同体 写真17点

 写真家のサラ・ライス氏が初めてこの共同体を題材に取り上げようと思ったのは、2011年のことだった。「修道院へ入るなど、住み慣れた一般社会を離れる重大決心をした人々が作る共同体はどんなものだろうと、興味を持ちました」と、ライス氏はナショナル ジオグラフィックに語る。

 当初は2週間のフォト・エッセイのつもりで始まったものが、思いがけず6年もの長期プロジェクトへと発展した。彼らの懐深くまで入り、素朴な暮らしをありのままにとらえた彼女の作品を目にすると、畑の耕作や動物の解体処理、ヤギの乳搾りといった日々の作業が、生存のための深遠なる儀式のように見えてくる。彼らの質素でシンプルな生きざまが、崇高さをまとってくるのだ。

「ここには、魔法のような何か特別なものがあります」と、ライス氏は語る。「実際にその場所へ行ってみると、何かが違うことがはっきりとわかります。一歩引いて、全てを考え直さなければなりません。または、これまで思ってもみなかったことについて、初めて考えをめぐらせるようになります」。年月を経て、ライス氏は共同体のありようが変わるのを目の当たりにしてきた。新たに共同体に加わる人、去る人、恋愛、結婚、誕生、すべてがこの小さな社会を構成する要素となっている。

 1993年に創設された共同体に上下の階層はなく、物事は全員で話し合って決められる。共同体の所有する約30ヘクタールの土地には、遮るもののない広大な野原、なだらかな丘、池、そして林が広がる。長い加入手続きを経て共同体に加わった人々は、のどかな楽園と、誰もが平等に意見を出すことのできる社会を享受する。「普段暮らしている社会は、ある一定の法則のもとで成り立っています。それを全て崩し、全てのものに疑問を呈し、見直し、再構築する過程を見ているようで、とても興味深いです」と、ライス氏は語る。

 ほとんどの住人は20~30代で、それぞれ共同体にやってくる理由は異なる。だが、人と地球を本質から尊重するという強い価値観のもとで全員が結びついている。「人々は、資本主義に失望してここへやってきます」と、ライス氏。共同体は、植物の種を販売し、さらに土地で採れるもので自給自足生活を営む。「互いに尊重し合い、土地を尊重する。それがここでは明確に見て取れます。でも、何よりも彼らは個人を大切にします」

 ここでは、時間がゆったりと流れる。労働はきついが、住人たちは好奇心を抱いたものを何でも探求することが奨励されている。ある女性は、七面鳥とカモの飼育と解体法を学び、ある者は畑に雨水をためる方法を学んだ。どんな案でも、「ばかばかしい」と言われることはない。全ての案は大切に育まれ、支持される。「自由が与えられると、人はどんな突拍子もないプロジェクトを考えつくのか、見ていると面白いです」と、ライス氏はいう。ある住人は、年に一度の共同体設立記念日に、「ヤギのサーカス」を披露した。純粋に娯楽のために、台をいくつも並べて、その上でヤギを歩かせたのだ。

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