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【開発秘話】発売から2か月で30万個以上を売り上げたエステーの脱臭剤『脱臭炭 ニオイとり紙』

8/8(火) 6:40配信

@DIME

 炭には優れた脱臭力がある。この能力を生かして開発されたのが、エステーの脱臭剤『脱臭炭』。発売以来、冷蔵庫用をはじめ様々な用途向けにラインアップを展開してきたが、現在、2017年3月に発売された『脱臭炭 ニオイとり紙』が大きな注目を集めている。

【写真】発売から2か月で30万個以上を売り上げたエステーの脱臭剤『脱臭炭 ニオイとり紙』

『脱臭炭 ニオイとり紙』は、ロール紙タイプの脱臭剤。炭を配合した紙を生ゴミや靴の中など、ニオイの気になるところに入れるだけでニオイを取る。初年度50万個に目標に販売を開始したところ、発売から2か月で30万個以上を売り上げ、8月か9月には50万個達成の見込みだという。

■ゴミ箱や靴の中のニオイを取るのに適した形は何か?

『脱臭炭』は3年ほど前まで、売れ行きが苦戦していたという。そのため同社では、「脱臭炭を入れよう」というメッセージを入れてプロモーションやテレビCMを展開。その甲斐もあり、『脱臭炭』は持ち直し、この2年で大幅に売り上げを伸ばすことができた。冷蔵庫用はよく知られているが、発売当初からあったにもかかわらず目立たなかった下駄箱用や流しの下用を拡大することに成功した。

 この苦境を乗り越えた先に、『脱臭炭 ニオイとり紙』の開発があった。『脱臭炭』にはまだ、カバーできていない領域があり、「ほかにもニオイが取れるところがある」という考えに至ったことから、2015年夏にニオイが気になるところを調査。すると浮上したのが、ゴミ箱や靴の中であった。事業統括部門第2事業本部ホームケア事業部の酉水(すがい)佳彦氏は「では、そこに適した商品をつくろう、ということで具体的に商品化を進めていくことにしました」と振り返る。

 ただ、この時点はまだ、紙を使うというアイデアはなかった。どういう形にすれば、ゴミ箱や靴の中のニオイを取れるかということで1年近く悩んだ。これまでの『脱臭炭』は備長炭の粉末や活性炭をゼリー状にしていたが、「一回、靴の中に入れて試したところ、ゼリー中の水分が飛んでしまい、カビが気になることになりました」と酉水氏。最適な形を模索する日々が続いたが、開発チームでアイデアラッシュをしていたあるとき、紙が水分を吸収することに着目。そこから、紙と炭を合わせたら面白いのではないか、と発想が広がっていった。

 紙を使えばニオイだけでなく、靴の中の湿気や生ゴミの汁も取ることができる。しかし、同社はこれまで、紙を使った商品をつくったことがなかった。とはいえ、「まったく何もわからない状態でしたが、これができたら面白いと盛り上がりました」と振り返る酉水氏。社内でも、紙を使うアイデアに対し異論は出ず、まずはチャレンジすることが求められた。

■なかなか決まらなかった紙と炭の相性

 開発は2016年夏から本格化。まずは製紙メーカーに紙のつくり方を教わることから始めた。紙の製造中に炭や活性炭を加えるタイミングなども、製紙メーカーが持つ知見を生かして検討した。

 形態はトイレットペーパーにすることにした。キッチンペーパーやティッシュペーパーのような形態も検討したが、トイレットペーパーにしたのは、マルチに使えるものを指向した結果と、お客様に気持ちよく使ってもらうためからだった。「ティッシュペーパーだと罪悪感を感じ、もったいない、という感覚から手が止まってしまいます。そうならないために、スーッと引き出せるトイレットペーパーにしました」と酉水氏は言う。

 気持ち良く使ってもらうという意味では、紙の質感にもこだわった。まず、ミシン目を切るときに気持ち良く切ってほしいということから、「ふにゃふにゃしたものよりも、パリッとしたものを実現しました」と酉水氏。それに、ついつい触ってしまう感触を意識した。「お客様のグループインタビューを行なったときも、参加者はずっと、手で紙をいじりながら話を聞いおり、終わった後は、机の上が紙の残骸だらけになっていました」と酉水氏は振り返る。

 紙の質感もさることながら、開発では何よりも、炭や活性炭と紙の相性をよくすることが求められた。紙にしっかりのせるため、炭や活性炭の配合比を何度も見直したほか、それぞれの粒子径も変えるなどして検証した。

 炭や活性炭と紙の相性は、なかなか決まらなかった。研究所レベルではうまくいっても、協力工場の生産ラインで試作品をつくり、できたものを試験すると、うまくいかなかったことも珍しくなかった。ときには試作品の試験を研究所で行なうと時間がかかることから、協力工場ですぐ行なったほどだった。

 試作品づくりに協力してくれた工場には、普段つくっているものの生産を1日ストップしてもらい、試作品づくりのためだけに生産設備を動かしてもらったこともあった。まる1日、試作品をつくるためだけに生産設備を動かすことは、なかなか納得してもらえないが、時間をかけて理解を求めたという。

 また、見かけ上は問題ないものができても、脱臭力に問題があることもあった。「紙の繊維のすき間に炭が入ってしまうと、脱臭効果が出づらくなってしまいます。優れた脱臭効果を発揮するには、紙の繊維の上に炭がのってもらう必要がありました」と酉水氏は言う。

■パッケージに正立方体の箱を使った理由

 製造技術上の課題解決を目指しながら、酉水氏は並行してパッケージデザインの検討も行なっていた。

 パッケージは当初、袋やプラスチックケースに入れることも考えたが、コストなどの兼ね合いから、正立方体の箱に中身を詰めた。正立方体の使用は以前から温めていたアイデアだったという。

 今回、このアイデアを実行に移したのは、まったく新しい商品ゆえに用途や使い方など伝えることが多かったため。面があることで、伝えたい多くの情報が収められるからであった。ただ、あまりに多くの情報を載せると理屈っぽくなってしまうため何を載せるかなどは検討したという。

 中でも気を使ったのは正面だった。紙がニオイを取るということを確実に理解してもらえないと、手に取ってもらえない恐れがあったからである。今までなら、正面は〈脱臭炭〉を大きく見せるところ、〈ニオイとり紙〉を大きく真ん中に配置。この商品が何者なのかをはっきりさせ、その後に『脱臭炭』だということがわかるようにした。

■売場向けに店頭ツールを充実させる

 酉水氏によれば、『脱臭炭 ニオイとり紙』は発表時から注目度が高く、早々に取り扱いを決めてくれた小売店が多かったという。主力のドラッグストアはもちろんのこと、他の商品に比べスーパーマーケットからの引き合いが強かったという。

 ただ、新規性の高い商品のため、販売に当たっては伝えるところが課題だったという。売場で手に取ってもらうために知恵を絞った。

 手に取ってもらうために行なったのが、店頭ツールを充実させることだった。店頭掲示用のパネルやトップボードはもちろんのこと、クリアボックスに中身を詰めて中が見えるようにしつつ引き出せるようにしたものなどを用意した。また、脱臭効果を体感してもらうため、瓶なり透明なケースなりに詰めたコーヒー豆に『脱臭炭 ニオイとり紙』を詰めたものと詰めなかったものの両方を置いて比較できるものなどもつくった。

★★★取材からわかった『脱臭炭 ニオイとり紙』のヒット要因3★★★

1.紙を使ったことの面白さ

 紙に炭を配合することで、新たな形の脱臭剤を創造。ユニークな発想が広く受け入れられた。

2.効果を担保

『脱臭炭』で培った脱臭効果を担保。脱臭剤としてユニークなだけでなく、効果も兼ね備えていた。

3.『脱臭炭』に対する信頼

 歴史とブランド力のある『脱臭炭』の新商品として、発表と同時に高い注目を集めた。消費者、小売店ともに、『脱臭炭』に対する信頼感があったからこそ、注目されたといってもいい。

 ゴミ箱や靴の中といった当初想定した用途以外にも、実際には使用済みのオムツのニオイ取りや散歩時のペットの糞の処理、などといった使い方もされているという。紙の汎用性の高さを発揮した形だ。もし今後、サイズでバリエーションが増えていけば、さらに用途が広がるように思われる。

■文/大沢裕司

@DIME編集部

最終更新:8/8(火) 6:40
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