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<衝撃>海で知らぬ間に脚が血まみれに、犯人は? 対策は?

8/8(火) 18:10配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

現場で捕まえた「容疑者」の映像も、オーストラリア

 血まみれの脚の写真によって、オーストラリア中に衝撃が走ったのは8月7日のこと。SNSではもう二度と泳がないと書き込む人まで現れた。

【動画】現場で捕まえた生肉を食べる「容疑者」

 被害にあったのは、メルボルン在住で16歳になる少年サム・カニザイ君だ。病院のベッドで撮られた写真を見ると、カニザイ君の脚の下のほうは傷だらけで、流れ出る血で真っ赤に染まっている。

 彼はサッカーをしたあと、ただ筋肉を冷やそうとして海にしばらくじっと立っていただけだという。やがて脚の感覚は麻痺し、ピリピリとは感じたものの、それは冷たい海水のせいであって、「まさか食べられているとは思っていませんでした」とザ・エイジ紙に語っている。

 カニザイ君を診た医師は、寄生虫の検査をして、抗生剤を投与したあと、包帯を巻いたと地元メディアに語った。その時点では、怪我はまだ予断を許さない状態とのことだった。

 いったい何がカニザイ君の脚を食べたのだろうか?

 最初にやり玉に上がったのはウオジラミである。皮膚や血液、あるいはクラゲの幼生などに寄生する甲殻類だ。ふつうは魚に寄生し、傷口を広げて深刻なダメージを与える。ウオジラミは世界中の海におり、ときに人間の水着の中にも入り込む。そうなると、ちょっとかゆくなるぐらいでは済まない。

 カニザイ君の父親のジャロッドさんは、謎の怪我をもたらした真犯人を見つけるべく、ウェットスーツを着こんで現場の海に入り、魚の肉のエサについた小さな生物を網で捕まえた。

ウオジラミか端脚類か

 捕まえたのはウオジラミと同じく甲殻類だが、端脚類と呼ばれるグループの仲間である。

 米スミソニアン自然史博物館の無脊椎動物学の専門家ジョン・ノーレンバーグ氏によると、ウオジラミと端脚類は混同されがちだという。

「端脚類をウオジラミとしてしまうのは、とてもよくある間違いです」とノーレンバーグ氏。世界中には端脚類の仲間がたくさんいる。ほとんどは植物食だが、なかには腐った肉を食べるものもおり、「とりわけ血液が好きなものもいます」

 メルボルン、ビクトリア博物館の海洋生物学者ジェネフォー・ウォーカースミス氏は、カニザイ君の父親が捕まえた生物を調べ、ウオジラミではなく端脚類であることを確認した。氏はこれが真犯人であると考えている。

 ウォーカースミス氏は、すでに端脚類が食べていた魚の死骸の近くにカニザイ君が立っていたために被害にあったのではないか、とザ・エイジ紙に語った。

 氏によれば、事故が起こった海域には端脚類が実にたくさんいるという。したがって、父親が用意した魚の肉にごまんと群がっていたことも驚くに値しない。もしカニザイ君が海中で動き回っていたなら、彼の肌にとりつくことはなかっただろう。

 カニザイ君の怪我がこれほどひどくなったのは、筋肉の疲れを癒やすためにあえてじっと立ち続けていたからのようだ。カニザイ君に噛み付いたときに、ヒルなどもやるように、血を固まらないようにする化学物質を端脚類が放出したと考える研究者もいる。

 一方、ノーレンバーグ氏は端脚類犯人説に懐疑的だ。端脚類がそんな物質を放出できるという話を聞いたことがないという。カニザイ君の血が固まりにくいなど、何かしら特別な体質がないか検査すべきだと氏は提案している。

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