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糖尿病治療薬 下痢や嘔吐が生じ意識不明で死に至る危険も

8/9(水) 7:00配信

NEWS ポストセブン

「その薬を飲むべきか否か」を判断する際に参考になる指針がある。日本老年医学会が定めた「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」だ。このガイドラインには、2000本を超える国内外の論文をもとに高齢者が「特に慎重な投与を要する薬物」として29種類の医薬品が掲載されている。

 その中でも注意すべきジャンルが「糖尿病治療薬」だ。糖尿病患者に最も多く使われる「スルホニル尿素(SU剤)」もリスト入りしている。北品川藤クリニック院長の石原藤樹医師が解説する。

「SU剤は膵臓に働きかけてインスリンの分泌を促し、血糖値をコントロールしますが、高齢者には低血糖リスクが大きい。意識障害を起こしたり、脳細胞へダメージを与えることもあります」

 リストでは使用を控えるか、DPP-4阻害薬という糖尿病治療薬への代替が勧められている。

「ただし、血糖コントロールは一生にわたることであり、安易に薬を替えるのが得策ではない場合がある。医師との相談が必須です」(同前)

 他にも注意すべき薬は多い。ピオグリタゾンなど「チアゾリジン薬」は、骨粗鬆症を招きやすいと指摘されているため、足腰が弱っている高齢者は要注意だ。

「α-グルコシダーゼ阻害薬」は「腸閉塞など重篤な副作用に注意する必要があり、下痢や便秘、腹満感などを招きやすい」、「SGLT2阻害薬」は「低血糖や脱水を招きやすい」とされ、夏場の老人の服用は可能な限り避けるべきだ。

 多くの糖尿病治療薬がリストに挙がる中、最も注意したいのはメトホルミンなど「ビグアナイド薬」だ。

「腎機能が衰えた高齢者がビグアナイド薬を服用すると血中の乳酸値が上がり、血液が酸性に傾く“乳酸アシドーシス”を発症するリスクが高まります。この状態になると下痢や嘔吐が生じ、放置すると意識不明に陥って死に至る危険がある」(石原医師)

 他にも高齢者にとって身近なところでは、「非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)」がある。NSAIDsは炎症性物質の働きを抑えて、痛みを和らげたり熱を下げたりする効果がある。イブプロフェン、ロキソプロフェンなど、医師の処方箋がなくとも薬局で気軽に買える薬だ。

「痛みや熱の症状に広く利用される一方、胃の粘膜を保護する炎症性物質の働きを抑えて、消化管出血や腎障害を起こすリスクがある。年を取るほど胃腸の働きが弱まるので、高齢者ほど要注意です。

 心筋梗塞や脳卒中など、心血管疾患を発症する怖れもあります。一時的な痛みならともかく、長期的に使用を継続するのは避けた方が賢明でしょう」(同前)

※週刊ポスト2017年8月18・25日号

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