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戦前の「日本軍」は民族のアイデンティティを重んじた。「世界の先住民に関する国際デー」に思う。

8/9(水) 21:12配信

BEST TIMES

今年は「先住民族の権利に関する国連宣言」が採択されて10周年という記念すべき年である。現在でも先住民を擁護していく上で言語や近代医療への不信感という壁に阻まれる事が多い。戦前の日本軍は先住民に対してどう対処したのか? 新刊『「日本軍」はなぜ世界から尊敬されているのか』を上梓した、熊谷充晃氏が語る。

国連「世界の先住民に関する国際デー」と同じ悩みを抱えていた戦前の「日本軍」

 国際連合では、国連宣言を下敷きにした多様な記念日を定め、毎年その日が訪れると記念イベントを開催したり、年度ごとに方針を掲げて国際運動を展開したりしている。

 そのうちのひとつが、今日8月9日に設定されている「世界の先住民に関する国際デー」だ。日本では知名度が低い記念日だが、1982年に第1回が開催された「国連先住民作業部会」が発端となった国際デーで、今年は「先住民族の権利に関する国連宣言」が採択されて10周年という記念すべき年でもある。

 国連が権利を擁護しようと支援している先住民は、2015年現在で約5000集団。世界70以上の地域に居住し、その人口総数は3億7000万人以上と推測されている。世界の総人口は、同じく国連の推計値で73億人以上とされているから、先住民が占める割合は5パーセント程度という計算になる。

 人口比では、総数にしても世界の圧倒的少数派に過ぎない「先住民」だが、彼らもまた独自の文化や風習を、長い年月をかけて守り続けてきた。このマイナーとはいえ尊重されるべき「先住民」たちの“個性”を、そして「先住民」の存在そのものを絶滅させないためにも、国連が専門の部会を設けて「世界の先住民に関する国際デー」を定めた。

「先住民」固有の文化とは? 

 「先住民」固有の文化といわれて何が思い浮かぶだろうか? 

 独特の宗教や信仰だったり、祭りなどの民俗芸能だったりと多様だが、特に重要性が高いものの代表格として「言語」が挙げられるだろう。

「国際デー」制定の60年以上も前から、民族固有の言語を地域内に広めることを教育政策の基本としていた戦前の「日本軍」は、その点では先進的な発想を持っていたといえる。

 また気候風土などの環境や独自の宗教的な理由などから伝統療法も、多彩なものが現代まで伝えられている。しかし一部は、それがあるおかげで民族が衰亡してしまうキッカケになり得る場合もある。

 例えば近年でも、国連によって最新の近代医療を受け入れさせるためのプランが進められたりしている。伝統医療への信頼と近代医療に対する不信をどう和らげ、適切な医療を受ける機会を増やせるか。

「先住民」に限らず世界人口の80パーセントが伝統医療に頼っているとされ、この問題は今日の最重要とされるテーマであり続けている。

 この点でも「日本軍」は時代の先取りをしていたといえる。近代的な衛生環境下での生活を送らせるため、保健衛生教育を地元に施すのは政策の基本だったからだ。現地では同時に風土病に打ち勝つための医学的研究を進めた地域も多く、そのために現地で創設した医科大学を活用する場合もあった。

文/熊谷 充晃

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