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日本におけるリテール資金決済の特徴と中央銀行の課題

8/9(水) 9:28配信

NRI研究員の時事解説

<要旨>

日本銀行によると、国際比較でみた日本のリテール(小口)資金決済の特徴は、(1)現金利用比率が極めて高い、(2)交通系を中心に電子マネーの利用が高い、(3)クレジットカードの保有枚数は多いが、カード決済金額の対GDP比率は平均並み、(4)デビットカード決済金額は極めて小さい、などが挙げられる。各国でのリテール決済の特徴は、各国の置かれた経済、社会、文化、慣習、歴史などによって決まる側面が強いことから、利用者のニーズを尊重するというのが、日本銀行を含めた各国中央銀行の基本的なスタンスであろう。しかし、仮想通貨やペイパル、アリペイなど非銀行が供給する「第3者決済プラットフォーム」など、新たなリテール決済の担い手を、銀行に近い形で扱う傾向を徐々に強めながら、その動向をよりしっかりとモニターしていく姿勢を強化しているのが現状である。

主要国でのリテール(小口)資金決済

主要国の大口資金決済を見ると、いずれも中央銀行が、経済・社会を支えるインフラとしての大口資金決済システムを自ら運営するという、共通した姿となっている。また、近年の即時グロス決済(RTGS; Real Time Gross Settlement)の導入など、各国での決済システムの発展についても、共通した流れを見ることができる。
これに対して、各国のリテール(小口)資金決済の制度については、各国の置かれた経済、社会、文化、慣習、歴史などによって様々なバリュエーションを見せており、その結果、小口決済の安定性を確保する中央銀行などの取り組みについても、まさに各国で対応が分かれているのである。また、最近の仮想通貨の広がりやスマホ決済の広がりなどの小口決済の新たな動きに、どのように関与していけば良いのかは、各中央銀行にとって大きな課題となっている。
日本銀行は2017年2月に「BIS決済統計からみた日本のリテール・大口資金決済システムの特徴」(注1) というレポートを発行した。以下では、同レポートに基づいて、国際比較でみた日本の小口決済の特徴を明らかにしてみたい。

注1:http://www.boj.or.jp/research/brp/psr/psrb170221.pdf

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