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カキと酒が旨いから、わざわざ鉄道で行く道の駅!?

8/9(水) 13:30配信

旅行読売

道の駅 厚岸グルメパーク(北海道)

 「うまいカキを食うなら、やっぱり酒も飲みたいよね。だから車は釧路のホテルに置いてきたんだ」
 花咲線厚岸(あっけし)駅から道の駅へ向かう途中で出会った年配の男性がそう話しかけてきた。車で全国を旅しているその御仁は、カキも酒もたらふく味わうべくわざわざ列車でここまで来たという。
 地元では、イタリア語で「貝の形をした食べ物」という意味を持つ「コンキリエ」の愛称で親しまれている厚岸グルメパーク。厚岸湾を見下ろす小高い丘に立つ建物はカキの貝殻を模していて、カキの町ならではのこだわりがうかがえる。
 中に入ると、1階にロビーとオイスターカフェ、総合展示販売コーナー、水族館などがあり、2階には三つのレストランと新鮮な魚介類が買える魚介市場がある。ここで買った素材は、隣接する「炙屋」で炭焼きにして食べることができる。本州から来た観光客は「厚岸のカキは、生でも焼いても蒸してもおいしい」と絶賛していた。
 とれたてのカキが通年で味わえるとあって、ツアー客をはじめ家族連れやライダーなどさまざまな旅行者に人気が高い。地元の人々も宴会などによく利用する。取材に訪れた日は釧路市内の小学校が体験学習の一環として見学に訪れ、ロビーには子どもたちの元気
な声が響いていた。

生カキに数滴のウイスキー。新たな味を生む異色のコラボ

 北海道南東部に位置する厚岸町は、北にラムサール条約に登録された別寒辺牛(べかんべうし)湿原が広がり、南は太平洋から深く入り込んだ厚岸湾が狭い水路を通じて厚岸湖とつながっている。市街地は水路を挟んで二つの地区に分かれ、厚岸大橋で結ばれている。
 厚岸がカキの名産地になったのには、湿原と厚岸湖が作り出す独特の環境が関係している。カキの養殖場を営む津田水産の代表・津田明宏さんは、「厚岸湖は外海のプランクトンを豊富に含む海水と、山や湿原の養分をたっぷり含んだ淡水が混じり合う汽水湖です。カキの稚貝はこれらの養分を取り込み、コクとうまみが凝縮されていくんです」と話す。
 また、水温が低いと成長が遅くなるというカキの性質を利用して養殖期間を調節し、出荷の時期を少しずつずらしている。手間暇のかかる作業だが、新鮮なカキを一年中提供するための努力のたまものだ。
 2階に今年オープンした「オイスターバール ピトレスク」では、カキの新しい味わい方を提案している。生カキにウイスキーをかけて食べるというスタイルだ。本場スコットランドではこのようにして食べる習慣があるというが、どんな味なのか想像できない私に総調理長の北田稔さんが味見をさせてくれた。
 貝殻から外したばかりの生カキを、まずは何もかけずに食べてみた。潮の香りがフワッと広がり、直後にフレッシュな風味が追いかけてくる。これだけでも驚きのおいしさなのだが、今度はウイスキーを数滴垂らしてみる。「ボウモア」というスコッチの銘柄で、北田さんが数十類のウイスキーの中から一番合うものを厳選した。
 スモーキーフレーバーを鼻先に感じつつ口に入れると、ウイスキーの力強さとカキの濃厚な甘さが見事にマッチして、先ほどのフレッシュな印象とはまったく異なる深みのある味が立ち上がってきた。これはまったく新しい味わい方だ。
 じつは厚岸町には2016年にウイスキーの蒸留所が誕生し、2019年の出荷を目指して蒸留を始めている。数年後には厚岸のカキと厚岸産ウイスキーのコラボレーションが実現するだろう。これもまた酒好きをとりこにする新たな名物となるに違いない。

文/舟見恭子 写真/川村 勲


道の駅厚岸グルメパーク
電話 0153・52・4139
住所 厚岸町住の江2-2
営業 【レストラン】レストラン エスカル11時~19時、炭焼あぶりや11時~21時、オイスターカフェ9時~17時(いずれも4月~10月の営業時間、季節により異なる)、【総合展示販売コーナー】9時~19時(4月~10月の営業時間、季節により異なる) /月曜休(祝日の場合は翌日休、年末年始休、7月~8月は無休)

※花咲線厚岸駅から徒歩8分

最終更新:8/9(水) 13:30
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