ここから本文です

あのクビサがF1に帰ってきた。6年ぶりドライブで現役復帰は見えたか

8/9(水) 7:40配信

webスポルティーバ

 8月2日の朝9時前――。もうすでに強い陽射しが降り注ぎ、気温が30度に達しようかという暑さのハンガロリンクは、異様な興奮に包まれていた。

【写真】F1ホンダ数値化で、ライバルとのマシン性能差が見えた

「ロベ~ルト・クビッツァ! ロベ~ルト・クビッツァ!」

 まるで熱狂的なサポーターで溢れかえるサッカースタジアムのように、巨大なフラッグや横断幕が並ぶグランドスタンドからは大合唱が聞こえてきた。ルノーのピットガレージ前には大勢の報道陣が詰めかけ、マシンが通る動線を確保しようとチームクルーが押しのける。

 やがて時計の針が午前9時を指し、グリーンシグナルが灯(とも)ると、ルノーのガレージからエンジン音とともに黄色いマシンが姿を現した。大歓声はさらにその勢いを増し、1周のインストレーションチェックを終えたマシンが帰ってくると、大きな拍手に包まれた。

 R.S.17のコクピットに座っていたのは、ロバート・クビサ(ポーランド)。彼にとっては、実に6年ぶりの本格的なF1ドライブだった。

 ポーランドからやってきた熱心なファンたちは、この瞬間を何年も待ちわびていたのだ。

 フェルナンド・アロンソがその速さを認める逸材のクビサは、BMWザウバーで2008年に1勝(第7戦・カナダGP)を挙げ、将来の活躍が期待されていた。しかし、2011年2月に趣味で参戦していたラリーで大事故を起こし、ガードレールが車体を突き破って右腕切断も検討されるほどの重傷を負った。

 今でもクビサの右腕は40%の筋力しかないといい、自由に動かせる状態ではない。ヘッドセットのような軽いものを持つことはできるが、握手をしたり、手を振ったりという動作はすべて左手で行なう状態だ。

 事故後はWRCなどラリーを中心としたレース活動を続けてきたが、F1となると、速度域も身体にかかる負荷も何もかもが異次元となる。クビサのF1復帰は、何度か話題に上がっては消えるということが続いてきた。

 しかし、今年の春になって事態は急速に動き始めた。ルノーがクビサに復帰の可能性を持ちかけ、6月7日にバレンシアで2012年型マシンを使ってプライベートテストを実施。コンパクトで低速のサーキットとはいえ、問題なくテストをこなしたことで7月12日には高速のポール・リカールでもテストを実施して確認を行ない、ついに最新の2017年型マシンでのテストへと踏み切ったのだ。

 ルノー・スポールのマネージングディレクター、シリル・アビテブールは次のように説明している。

「2回のテストで多くの情報を収集することができ、今回のテストでは最新型マシンのR.S.17を使い、なおかつ他との比較も容易な状況で、さらに詳細で正確なデータを得ることができる。このテストの後、我々は収集した情報を慎重に分析して、今後のシーズンに向けてロバートがどのような形で競技に戻るのが好ましいのかを判断することになる」

1/4ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Sportiva

集英社

Sportivaムック
4月13日発売

定価 本体1,472円+税

フィギュア特集
『羽生結弦 平昌への道』
■ヘルシンキの激闘
■宇野昌磨、本田真凜ほか