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リクルート系列会社がNPOと「訪問美容」普及呼びかけ

8/9(水) 21:53配信

オルタナ

リクルートライフスタイルが運営する「ホットペッパービューティーアカデミー」は8月8日、NPO法人全国福祉理美容師養成協会(愛知県日進市)と共同で、無料セミナー「訪問美容『最初の一歩』」を都内で開いた。訪問美容は、高齢や病気などでヘアサロンに行けない人を対象に、美容師が自宅や病院などを訪問するサービスだ。社会的な意義や現場での実体験のほか、高齢化が進むなかでビジネスチャンスにつながる可能性などを紹介した。(吉田 広子:オルタナ編集部/Sustainable Brands Japan)

「30歳になり、美容師として、どうありたいかを考えたときに『訪問美容』を知った。将来は美容師として人の役に立つ仕事がしたい」

セミナーに参加した千葉県八千代市にある美容室Arkhe(アルケー)の店長・高橋俊仁さんは、こう語る。東日本大震災後、仮設住宅などで実施された「青空サロン」にヒントを得て、病気の子どもたちを訪問したり、有事の際に被災地をまわったりする「移動サロン」の構想を練っているという。

ホットペッパービューティーアカデミーは、リクルートライフスタイルの美容に関する調査研究機関。同アカデミーは、人口減少や高齢化といった社会課題と、美容師の減少やサロン利用率の低下など美容業界が抱える課題に対して、どのように向き合うかを考える「未来会議」を展開している。訪問美容は未来会議のテーマの一つだ。

訪問美容に関するセミナーは、2015年から東京、名古屋、大阪、博多で開催し、累計約630人が参加した。

顧客のすぐ先に「少子高齢化」

訪問美容の対象は、要介護状態にある人や病気やケガで治療中の患者、介護や育児などで外出が困難な人たちだ。

全国福祉理美容師養成協会(NPOふくりび)は、「誰もがその人らしく美しく過ごせる社会の実現」を目指し、訪問理美容に加え、訪問理美容を行う理美容師の養成やコンサルティングなどを行っている。

NPOふくりびの赤木勝幸理事長は、サロンを経営しながら訪問美容を22年にわたって続けてきた。「今後、自身の顧客が、高齢で介護施設に入ったり、入院したりする経験が増えてくるだろう。事前に準備し、訪問美容もできるお店だと伝えておければ、お店に来られなくなっても、『生涯顧客』として長く付き合っていける。顧客との深い関係は、美容師にとってもやりがいにつながる」と話す。

訪問美容の場合、寝たきりだったり、認知症だったりするため、安全面や衛生面、コミュニケーションで工夫が必要になる。

NPOふくりびでは、現場に到着後、家族や介護スタッフに健康状態、要介護度、精神状態などをヒアリングし、カットの要望や施術時間を確認している。健康状態に不安がある利用客も多いので、できるだけ素早く仕上げることを心がけるという。

赤木理事長は、「まずは利用客の状態を把握することが大事。カットの技術は一度型を覚えれば、難しくはない」と説明する。

本人が希望する髪型と家族や介護スタッフの希望が食い違うこともある。介護や健康状態の都合で短い髪の方が良くても、本人の希望を無視することはできない。

NPOふくりびの岩岡ひとみ事務局長は、「短い髪の何がいやなのか、まずは確認することが大切。短くしても、女性らしさを残すなど、訪問美容には臨機応変さが必要だ。より踏み込んだコミュニケーションを大切にしてほしい」とアドバイスした。

例えば、要支援・要介護認定の高齢者603万人、施設に入居している障がい者50万5000人が2カ月に一度、2000円でカットすると想定すると、現在の訪問美容の市場規模は784.2億円に上るという。一方で、ホットペッパービューティーアカデミーの調査によると、60-70代のうち、訪問美容のサービスを認知しているのは、約3割にとどまる。

リクルートライフスタイルの道本雅典執行役員(ビューティ領域担当)は、「すぐには激変しないかもしれないが、人口動態や消費者ニーズが変わっていくなかで、『訪問美容』は美容業界の大きな柱になる可能性がある。不安を抱えた消費者に対し、優れた美容のサービスを一生涯にわたって利用できるという安心感を提供したい」と話す。

ホットペッパービューティーに登録している美容サロンは6万5000軒に上る。道本執行役員は、「当社がその気になっても、自分たちは施術できない。訪問美容の普及には美容室の皆さんの賛同が必要。一緒に新しい時代の美容を考えましょう」と呼びかけた。

「サステナブル・ブランド ジャパン」より転載

最終更新:8/9(水) 21:53
オルタナ

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