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コンピューターゲームがイスラム憎悪を拡散?

8/9(水) 17:27配信

ニューズウィーク日本版

トルコが「有害ゲーム」の取り締まりを始めたが

トルコ政府が外国のコンピューターゲームにかみ付いた。意図的に恐怖と憎悪をまき散らしているというのが理由だ。

「共謀罪法」がイスラモフォビアを生まないか

コンピューターゲームの愛好者は、トルコにも大勢いる。その数は約2500万人で、1日当たりのプレー時間は延べ3900万時間に上ると、青年スポーツ省のフゼイフェ・ユルマズ教育・文化・研究委員長は国会で述べたという。

しかしユルマズによれば、多くのゲームには「有害な内容」が含まれている。性的なものや暴力的なもの、そしてイスラム教やイスラム教徒への恐怖と憎悪を拡散する内容のことだ。

このようなゲームの国内での販売を制限すべきだと、ユルマズは主張している。「兵士役のプレーヤーがイスラム教徒のテロリストを殺すと点数が入る。そうしたゲームの最大の目的は、イスラムへの憎悪を生み出すことにある」と、ユルマズは述べたという。

トルコ政府のウェブサイトには、潜在的に反イスラム的な内容を含んでいるとして19のゲームが名指しされている。世界で2億5000万本以上売り上げた『コール・オブ・デューティ』シリーズのいくつかのゲームもリストに載っている。

例えば、『コール・オブ・デューティ モダン・ウォーフェア2』では、預言者ムハンマドの言葉を記したアラビア語の文字がトイレに掲げられている場面があると、青年スポーツ省は指摘している。制作元のアクティビジョン社は改訂版をリリースし、その文字を取り除いた。

ほかにやり玉に挙げられたゲームには、『ギターヒーロー3 レジェンド・オブ・ロック』がある。青年スポーツ省によれば、ステージの床に、アッラー(神)というアラビア語が記されていて、キャラクターがその上で飛んだり跳ねたりするようになっているという。

「このおぞましい行為は、イスラムを侮辱する画像がゲームに意図的に組み込まれている証拠と言える」と、青年スポーツ省はウェブサイトで批判している。制作元アクティビジョンは、本稿執筆時までに取材に返答していない。

『鉄拳タッグトーナメント2』にも批判が持ち上がった。『ギターヒーロー3』と同じく、キャラクターが格闘する場の床に、アッラーというアラビア語が記されていたためだ。開発元のバンダイナムコは、改訂版でその言葉を消去した。

以前は、『パックマン』もブラックリストに載っていたことがある。「ベールを被ったイスラム教徒女性を集めている」というのが理由だ(現在はリストから外れている)。

青年スポーツ省のユルマズは、イスラム教徒にとって安全なコンピューターゲームを独自に開発していく意向を表明している。既にリリースされている『ヌスラット』というゲームは、これまでに250万回以上ダウンロードされたという。

過剰反応とは言い切れない面もある。ゲーム業界に詳しい専門家たちによれば、アメリカなどのコンピューターゲームでは、実際に偏見がしばしば見られ、イスラム教徒が悪役として描かれているケースが多いという。

世界に15億人以上いるイスラム教徒の声は「ほとんど反映されていない」と、テクノロジーニュースサイトのベンチャービートは指摘している。ゲーム業界がイスラム教徒の声にもっと耳を傾ける必要があることは、少なくとも間違いなさそうだ。

コナー・ギャフィー

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