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『ポケモン GO』開発者・野村達雄さんが最初にGETした意外なポケモンとは?

8/9(水) 7:30配信

@DIME

 街中を巡りながら、スワイプ一つでポケモンを捕まえる。全世界ダウンロード数7億5000万回を突破したメガヒットゲームアプリ『ポケモン GO』が、今年の7月22日で日本国内のリリースから一周年を迎えた。先日、シカゴで開催されたアメリカでの一周年記念イベント「ポケモン GO FEST」をきっかけに、伝説のポケモン“ルギア”が世界中に登場するなど、いまだ老若男女を問わず多くの人たちの心をつかんで離さない。

【写真】『ポケモン GO』開発者・野村達雄さんが最初にGETした意外なポケモンとは?

 メガヒットゲームアプリの仕掛け人となったのは、開発を手がけたナイアンティック社の野村達雄さんだ。中国の片田舎で生まれ、1995年に一家で日本へ渡ることになった野村さんは、小学4年生で「ポケットモンスター」の魅力にとりつかれた。

 やがて、ポケモンへの情熱を忘れられない少年は大人になり、Google社でエンジニアとして活躍。その後、ナイアンティック社へ移籍し、世界的なムーブメントを築き上げた一大プロジェクトのプロダクトマネージャーとなるまでに至った。そんな野村さんが、初の著書『ど田舎生まれ、ポケモンGOをつくる』を出版した。野村さん自身の来歴やGoogle社での経験、『ポケモン GO』の開発秘話にも迫る一冊だ。今回は野村さんの抱く仕事や生き方についての“哲学”を前編と後編にわたり紹介していく。

◎一にも二にもモノを見せることが大切

ーー野村さんは『ポケモン GO』以前に、Googleのエイプリフール企画の「Googleマップ 8ビット」や「Googleマップ ポケモンチャレンジ」を担当していたそうですが、当時はどのような立場で関わっていたんですか?

野村:基本的にはエンジニアとして参加していました。ただ、プロジェクトを実現するために何でもやっていましたね。「Googleマップ 8ビット」はユーザーがドット絵で表現されたマップ上を冒険するといった仕様で、きっかけは「マップを『ドラクエ』のようにしたらいいんじゃないか」というふとした思いつきからだったんです。

ーー自著の中で、周囲にまず見せるため「3時間ほどプログラミングし、ブラウザ上で簡単なデモを作りました」とありましたが、そのねらいは何だったんでしょうか?

野村:文章や写真だけでは、それぞれが別のイメージを描くかもしれない。そのためには、形を見せるというのがやはり大切なんです。何か動くものを見せると、共通のイメージを持ちやすいし、面白いかどうかわかってもらえるからです。

また、こういうプロジェクトは、ボランティアで参加してくれるんですね。だから、誰かに強制されたり、誰かに命令されて動くわけではないので、関わる人たちに賛同してもらうのが必要になります。そのためにデモを作ったおかげで「おもしろい」と思ってくれたメンバーが集まり、プログラマやデザイナー、プロダクトマネージャーといった部署や役割を超えたスタッフたちと一緒に企画を実現できました。

◎「ポケモンを捕まえる」「人を外に連れ出す」というコンセプトを重ねる

ーー2014年4月頃から動き出した『ポケモン GO』のプロジェクトではプロダクトマネージャーを任されたとありました。エイプリルフール企画で培われた経験というのは、やはり活かされたのでしょうか?

野村:はい。『ポケモン GO』でも人に理解しもらって、賛同してやってもらう、ということを考えなくてはいけなかったので、そこでの経験はかなり活かされたと思います。また、現在の上司でもありプロダクトマネージャーとしての経験が豊富な河合敬一にいろいろ教わりましたし、彼に支えられた部分は大きいです。

ーー『ポケモン GO』はGoogle社やナイアンティック社だけではなく、ポケモン社やゲームフリーク社、さらには任天堂も関わる一大プロジェクトでしたが、アプリ開発の背景にはどのようなコンセプトがありましたか?

野村:「ポケモンを捕まえる」「人を外に連れ出す」という軸がありました。「ポケモンを捕まえる」は、ポケモン社やその代表取締役社長を務める石原恒和さんから託されたものだったんです。そして、「イングレス」でも実現していますが、ナイアンティック社の創業者であるジョン・ハンケがかねてより抱いている「人を外に連れ出す」という想いもあります。

ーー実際、ゼロから開発を手がける中ではやはり苦労もありましたか?

野村:基本的には好きなことをやって給料をもらっているという部分もあり、苦労はなかったですね。技術的な面での試行錯誤はもちろんありました。例えば、アプリと連携するデバイス「ポケモン GO プラス」とのインテグレーションはかなり大変でした。でも、もともとエンジニアなので、技術的な課題を解決することは楽しかったです。

◎ダラダラする姿が似てる? いちばん好きなポケモンはのんびり屋のカビゴン

ーー2016年7月5日、世界に先駆けてオーストラリアとニュージーランドでローンチするために、パソコンのキーを押す瞬間の写真が掲載されています。野村さんの笑顔がすごく印象的なワンシーンですが、その瞬間はやはり達成感をおぼえましたか?

野村:やっと出せるという気持ちが一番強かったですね。ただ、あの写真はじつはローンチされる直前のシーンで……。周囲のスタッフに「押すよ」と言ってフェイントをかけ、キーボードからいったん手を離した瞬間だったんですよ(笑)。でも、その後にローンチしてすぐは、もちろん反応がないので、モニター上のユーザーの動向を示すグラフを眺めるのみだったので、実感をおぼえたのはもう少し先でした。

ーーその後、2016年7月6日にアメリカ、同月22日には日本でもローンチされるなど世界へと普及していきました。その中で、実際のユーザーのみなさんの反応を味わう機会はありましたか?

野村:アメリカでのローンチから数日後、自宅へ帰る途中でスマートフォンを眺めている女性を見かけたんですね。手元をチラっと見たら、その方が『ポケモン GO』をプレイしていたんです。そのときはもう駆け寄り「『ポケモン GO』やってるの?」「どんなきっかけで知ったの?」「どのポケモンがいたの?」と話しかけに行きました。

また、ローンチされた月の20日(現地時間)にサンフランシスコで開催された、ユーザーによる数千人単位のイベント「ポケモンGOクロール」に他のスタッフと共に参加したんです。ポケモントレーナーやポケモンたちのコスプレをしている人たち、スピーカーから音楽を流している人たちと一緒に、僕もピカチュウのぬいぐるみを肩に付けて街中を歩きました。

ーー開発者として、実際のユーザーの反応を味わうというのも感慨深そうですね。他に印象に残った、ユーザーのみなさんの反応というのはありましたか?

野村:Facebook上で、あるお母さんが「『ポケモン GO』で息子が変わった」という趣旨の投稿をされていたんです。お子さんが自閉症で、それまでは家の中に閉じこもっていたようなんですが、アプリをきっかけに初めて「外へ行きたい」と自分から願うようになり、人にも話しかけるようになったというメッセージが綴られていて。それを知ったときに、関わって良かったと思いました。

ーーナイアンティック社に流れる「人を外に連れ出す」というコンセプトが、ユーザーへ真に響いたことが分かるエピソードですね。ちなみに余談ですが……。野村さんが初めて捕まえたポケモンは何だったんですか?

野村:え、何だったんだろう(笑)。最初の3匹の中では、初めてプレイした『ポケットモンスター 赤」でも選んでいたヒトカゲを選びました。ちょっと調べてみると……、あ、CP40のコイキングですね!

ーーまさしくリアルな“ポケモンマスター”が、初めて捕まえたポケモンということですね(笑)。ちなみに、好きなポケモンは何でしょうか?

ーー僕は昔からカビゴンが大好きなんですよ。カビゴンは寝ているか、起きているときはひたすら何かを食べているポケモンなんですけど、そんなダラダラした普段の姿が自分に似ているのかなって(笑)。カビゴンには、自分と同じ「たつお」と名付けて大事に育てています。

今年6月に、強敵のポケモンにトレーナー同士が協力して立ち向かう「レイドバトル」を実装。8月9日~15日に横浜で開催されるイベント「ピカチュウだけじゃない ピカチュウ大量発生チュウ!」(リンク:、今後の展開にも期待の高まる『ポケモン GO』。

 今回の前編では、プロダクトマネージャーとしての開発秘話を中心にお話を伺ったが、後編では、野村さんの抱く仕事や生き方への“哲学”を紹介していく。

取材・文=カネコシュウヘイ

@DIME編集部

最終更新:8/9(水) 7:30
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