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安倍改造内閣は中国台頭で強まる政界再編風を止められない

8/9(水) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 今、永田町にどんな風が吹いているか、と問われれば、「それは政界再編風である」と答えたい。

 なぜならば、最近起こっていること、すなわち、東京都議選での自民、民進両既成政党の惨敗、「都民ファースト」という新党の爆発的躍進、その後の自公政権の追い込まれ改造人事、民進党のさらなるバラバラ感…といった一連の現象を見ると、何やら二十数年前の細川護熙氏の日本新党誕生以降の政界再編劇とダブって見えるからだ。

 これから起こるのは、戦後三度目の大きな政界再編劇であるかもしれない。今回の改造劇でもその胎動の一端が見えた。

● 安保環境の激変 戦後3度目の政界再編風

 戦後史を振り返ると、安全保障環境の大きな変わり目には、必ずと言っていいほど政治勢力の再編が起きた。

 それは過去二回あった。

 戦後、米ソ冷戦体制ができあがると、国内政治勢力は保守合同、左右社会党統一による「自社55年体制」という形でそれに応えた。共産主義に抗し、自由主義経済体制の下で高成長を実現したのは、自民党一党支配と社会党の万年野党体制による政局の安定が奏功した。安保政策は日米安保体制におんぶに抱っこ、自衛隊は専守防衛、海外派遣の「は」の字もなかった時代である。

 その米ソ冷戦が90年代初めに崩壊した時に始まったのは、一党支配を続けてきた自民党の分裂と非自民政権の誕生、そして、保守二大政党を軸にした連立政治だった。

 共産主義の脅威がなくなり世界が一つの大きな市場になった時、政治もまた安定より競争を求めた。日米安保は維持されたが、国連PKOによる国際貢献という新たな安保観が生まれ、自衛隊の海外派遣が行われるようになった。

 それからまた二十余年。日本は、中国の台頭、米国の後退という、過去に経験のない安全保障上の環境変化に直面している。三度目の政界再編の底流がここになる。

● 自民、共産がまず動いた 対中政策が再編の軸、軍拡か平和外交か

 この変化に最初に反応したのが、自民党である。

 党内最右翼の安倍晋三氏を首相に担ぎ出し、禁じ手だった集団的自衛権の行使を一部認め、さらに米国の世界覇権を自衛隊の兵站補給(後方支援)の世界展開によって支える、という軍備拡張(2015年9月成立の新安保法制)路線を選択した。

 自民党内のもう一つの勢力である宏池会、旧竹下派の軍縮志向、平和外交路線は、「安倍一強体制」の陰に隠れたまま、その主張を内に封じることになった。

 野党側で、最初に動き出したのが日本共産党だった。

 新安保法制強行成立以来、それまでの野党純化路線を捨て、野党共闘・政権参加の現実路線に切り替えた。

 共産党の変貌が政界再編に与えているインパクトがまだ正当に評価されていないのは残念だ。その集票力(601万票=16年参院選比例)を野党共闘のために差し出したことは、公明党・創価学会票(757万票=同)の下駄をはいてかろうじて与党の座にある自民党を脅かしている。実際に16年参院選では、32の一人区で野党共闘が11勝した。安倍首相がこの間に解散権を行使できなかったのは、この共産票の脅威によるところが大きかった。

 野党第一党の民進党もまた揺れている。

 一つはこの共産票とどう共存共栄するかである。ほぼ社民政党化しつつある共産党と選挙共闘すべきだという左派と、共産党とだけはとても一緒にやれないという右派の間でミシン目が深くなっている。本質的には、中国台頭、米国後退という新事態に、安倍的軍拡路線に代わる現実的対案を作り切れていないところに、政権を狙う政党としての不安定感がある。

 要は対抗軸として、とても持続可能とは思えない中国との軍拡競争を避け、東アジアでの軍事緊張は、密度の高い首脳外交、歴史認識の明確化、抑制的な必要最小限度の防衛力の維持、国民間の草の根交流といったソフトパワーで緩和させる道がないのか、ということだ。

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