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韓国のイジメが壮絶! 最終的には親が代理戦争に乗り出す

8/9(水) 8:50配信

HARBOR BUSINESS Online

 今年3月。韓国ソウルのある中学校で起きた事件が訴訟問題にまで発展し話題となっている。

 日本でも活躍した韓流女優ユン・ソナも自分の息子のイジメ行為を擁護したとして炎上した。

 韓国日報の報道によると、ことの推移は以下の通りだ。

 A君(15)の家に泊まることにした、友達であるB君(15)とC君(15)。

 その晩、C君が先に眠りにつくと、A君とB君はC君のズボンを脱がし、こっそり下半身の写真を撮った。次の日の朝、この事実を知ったC君は激怒。画像の削除を迫ったところ、A君らによると、すでに削除したとのこと。C君は激怒こそしたものの、一旦その場は治まった。

 しかし、数日後。A君達は携帯に残っていたC君の下半身の写真を他の友達に見せており、これによって事態は大きくこじれてしまう。 事態を把握した学校側は先月、学校暴力対策自治委員会(通称、学暴委員会)を開き、A君とB君をともに「転校処分」とした。

 しかし驚いた事に、この処分にまず反発してみせたのは、A君の両親である。

 実は学暴委員会が行われる前に、被害生徒のC君の両親に数回謝罪したが、受け入れられなかった背景がある。A君の両親はこれを挙げて「学暴委員会の決定の前に、すでにC君への謝罪は済んでいる。転校処分はやりすぎだ」と反発した。「写真を流布したりはせず、ただ他の友達に見せただけじゃないか。それなのにこんな過重な罰則をくらっては、今後この子の将来に大きな影響を及ぼす」と主張した。

 一方、C君の両親は「親しい友達に下半身の写真を撮られたというだけでもショックなのに、削除をしたと嘘までつかれてばらまかれ、あまりにも大きな精神的被害を受けた」として厳重な処罰を望んだ。A君の両親は教育庁にも処分の再検討を要求したが、却下。気が済まないA君の両親は、裁判所に転校処分の効力停止申請の手続きまで行った。

◆いじめ加害者は進学不利になるため、親の“弁護”が過熱

 学校のいじめ問題は、いまや「大人たちの争い」へと広がっている。 大小なりとも学生たちの間で発生した対立や争いが、学暴委員会が介入する事により「いじめ事件」となって、より厳重な処罰を求める被害者側と、これを忌避するための加害者側の親同士の執拗な「争い」が繰り広げられることとなる。

 学暴委員会によって下された処分に対する不信は、再検討の要求につながり、それでも処分が変わらない場合には、大人達は法廷闘争も厭わない。時間が大幅にかかっても、大きな出費となろうとも、自身の子供を守る。時にはそのような事柄が美談化されることもある。

 学暴委員会による処分は当然その生徒の「前科」として、将来的にあらゆるリスクを生む。例えば高校入試や大学入試などが不利になる。ただでさえ学歴志向が強い韓国においては、致命的な問題だ。両親は、子どもが引かれたレールから足を踏み外さないことを願っている。親にしてみれば、たとえどんなに些細なことであろうとも、子どもを「前科者」にする訳にはいかない。

 だから親たちは、学校や学暴委員会に矛先を向ける。

 通常、学暴委員会は5人~10人以下で構成するものの、必ず過半数以上の保護者委員を含めることを決まりとしている。しかし、近年ではこの保護者委員自身がトラブルに関係しているケースが少なくないうえ、弁護士や医者など専門家の委嘱が必須ではないため、客観性が損なわれ、委員会の議論が、感情に左右されやすい場合も多い。学暴委員会が下す処分に対しても、公平性と専門性に欠くという批判もある。

◆加害者側の再考請求件数が大幅に増加

 実際に学暴委員会の処分を不服として、加害者側が教育庁などに処分の再検討を請求した件数は、毎年大幅に増えている。韓国の教育部(韓国でいうところの文科省)によると、加害者側による再考請求件数は2012年572件から2014年には901件、そして昨年は1,299件に増加した。

 再考要請を越えて法廷へ持ち込む事例も近年急増している。資料によると、学校などを相手にした行政訴訟は2012年には50件だったものの2015年には109件にまで増加し、ここ3年間で二倍以上にもなっているという。

 今年3月、悪口を言われたという理由で友達を殴り、学暴委員会から転校処分を受けた女子高生は、先月、行政訴訟の末に転校処分取消しの判決を受けた。しかし、結局元の学校には馴染めず、近くの学校へ転校した。多大な時間とお金をかけても、守れたものはプライドのみ。

結局は何も変わらなかったということだ。

 ちなみにこの女子高生の親は「学校が生徒を見捨てるなんて」と学校側を強く批判している。

 学暴委員会によって起こる「大人たちの争い」を止めるためには、細かい対策マニュアルが用意されるべきだと専門家たちは指摘する。

 親たちが訴訟まで辞さないのには、いじめ問題を扱う学校側に対する不信も影響しているためだ。被害者側は学校がこうした事件を隠蔽するために、加害生徒をかばっていると声を高める。一方、加害者側は学校側が事態の沈静化を急ぐあまり、トカゲの尻尾切りのように、事実関係を正確に把握せず厳重処分を下すと反論している。

 事実、現場の教師たちの状況判断能力が低いために、トラブルが起きた際の背景や事柄を理解できず、問題が徐々に大きくなっていくケースが多いのだという。また、専門家は「大抵の教師たちは、いじめやトラブルに巻き込まれたくないと逃避する傾向にある」と指摘している。

 日本でも度々いじめなどの問題が生じるたびに、教育委員会が批判の矢面に立たされる場合がある。しかし、日本の教育委員会は韓国の学暴委員会に比べると、首長が委員を選出するだけに、専門性や公平性はある程度担保される。

 問題となっているのは、韓国とは全く違った視点だ。

 まず、教育委員会がどのようなことをするのか、どのような役割を担っているのか、地域住民にあまり認知されていない。もともと市町村の教育委員会はその地域ごとの特長を生かし、地域住民の意向を反映させるものだが、いまや地域住民との接点がなく、住民から遠い存在となってしまっている。事務方の提出する案を追認するだけで、上意下達を徹底することが職務であると錯覚し、実質的な意思決定を行っていないと、近年では廃止論も主張されているほどだ。

 いじめ問題が発覚した際、残念ながらそれを隠蔽したがる学校や教育委員会は存在する。どこの国でも「大人たちの体裁」の代償として、子供たちの倫理観と貴重な青春時代が犠牲になっている。

<文・安達 夕 @yuu_adachi>

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