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積水ハウスまで騙された「地面師」暗躍の実態

8/9(水) 5:00配信

東洋経済オンライン

 大手ハウスメーカーである積水ハウスが、東京・五反田駅近くの土地を購入のために63億円を支払ったにもかかわらず、土地の所有者側の提出書類に真正でないものが含まれていたことを理由に法務局に登記を拒否され、その後売り主と連絡が取れなくなっているという事件が、業界を揺るがせている。

■「地面師」がまた少しずつ暗躍している

 この犯罪行為の主役は、他人の土地を自分の物のように偽って売買するよう仕向けカネをだまし取る、いわゆる「地面師」だ。地面師は土地価格の上昇が続いたバブル景気のときに多く跋扈(ばっこ)していたが、その後は不景気の影響もあり存在感を薄めていた。しかし、最近の金融緩和政策に伴う土地取引の増加によって、また少しずつ暗躍するようになっている。

 事件を受け、筆者の下に各メディアから「プロでもだまされてしまうものなのでしょうか?」という問い合わせが相次いだ。答えは「YES」だ。不動産取引のプロでも見抜けないほど、最近の地面師の手口は巧妙化している。

 印刷技術の発達もあり、パスポートなどの偽造は以前に比べてますます容易になっている。陰影がわかれば、3Dプリンタを用いることで実印すら偽造することも可能だ。仮に偽造が見抜けるとしても、過去にはこうした書類を受け取り登記申請を行う司法書士が、地面師グループとして関与し逮捕された事件もあった。

 地面師は単独で動くことはなく、大抵の場合、グループで行動する。今回の事件で売り主を装い、偽造した印鑑登録証明やパスポートを携えて取引の場に登場した人物は、どちらかといえば脇役だろう。主犯は、裏でこの事件全体をプロデュースした者だ。

 このプロデューサーは、売り主を装った人物のほか、パスポートなどを偽造する者などをまとめ、事件のストーリーを仕立てる。前述したとおり取引に携わる不動産業者や弁護士までグルになっていることもある。少しでも取引に関係するプレーヤーはなるべく味方側であるほうが、成功の可能性が高まるためだ。今回の事件詳細については各種報道に譲るとして、ここでは一般論として、こうした事件に巻き込まれないためにはどうしたらいいか、考えてみよう。

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