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青木宣親にムネリン遺産の追い風!?「Welcome to Toronto」の第一歩。

8/9(水) 10:46配信

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 日本人メジャーリーガーは未だに少数派である。

 野茂英雄のメジャー挑戦から20年以上も経つのに、信じられないことかも知れないが、日本人選手は今でも珍しい。

 そういうことは新しい日本人選手がそのチームに来た時に、とてもよく分かる。

 新しい日本人選手に余裕を持って対応しているチームもあれば、ぎこちない感じで接しているチームもある。また一見余裕がありそうなチームでも、実は報道陣の数の多さを考慮しながらいろんな決め事をして、選手から遠ざけようとしているチームもあるし、ほとんどノーガードのチームもある。

 トロント・ブルージェイズは、ほとんどノーガードのチームだ。そして、それはこのチームで人気者になり、今はソフトバンクでプレーしている川崎宗則のお陰である。

「ムネからWelcome to Torontoってメッセージが」

 「(川崎から)Welcome to Torontoってメッセージが来た。まだ心はここにあるのかも知れない、あいつは」

 と青木が笑う。アストロズからトレードで移籍し、チームに合流した8月1日の試合前のことである。

 「ここにはムネの遺産があるっていうのをすごく感じる」

 ムネの遺産。

 たとえば主砲ホゼ・バティスタが青木のロッカーの前を通り過ぎる時、「ガンバッテネ」と声をかける。

 たとえばカブス時代、福留孝介ともプレーしたことのあるダーウィン・バーニー内野手が「これって空手だっけ?」とお辞儀しながら胸の前で手を合わせる。

 「そんなこと、日本人は誰もやらない」なんてのは百も承知。ブルージェイズの「前任者」は「その場が和めばいい」と日本語を教え、やりたいジェスチャーをやった。

「結局、最後までひとことも話さなかった」選手も。

 今までにメジャーにやってきた日本人選手の全員がそういう印象を残しているわけではない。他の球団には「あいつとは結局、最後までひとことも話さなかった」と愚痴る元選手の現役コーチもいるぐらいだ。

 だから、メジャーリーグの中の少数派である日本人選手は皆、ある意味「先駆者」である。

 留学生や駐在員と同じように「先駆者」が印象を悪くすれば、次に来る選手はほぼマイナスからのスタートになる。ドミニカ共和国やプエルトリコ出身選手並みとは言わないまでも、どの球団にも一人は日本人選手がいるような状況にでもならない限り、日本人選手は皆、他の選手たちから注視される存在だ。

 「あいつはどんな選手なんだ?」というのは当たり前。「あいつは幾ら貰ってるんだ?」、「どんな性格しているんだ?」、「冗談は通じるのか?」、「どんなものを食べてるんだ?」、「妻や子供はいるのか?」……等々。まるで転校生を迎え入れる在校生のように興味津々だ。

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最終更新:8/9(水) 10:46
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