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名門アヤックス復活を支えるアカデミーの育成改革

8/10(木) 19:34配信

footballista

昨シーズン、21年ぶりに欧州カップ戦の決勝に駒を進めたアヤックス。快進撃を支えたのは17歳のオランダ代表CB デ・リフトや19歳のデンマーク代表FWドルベリら生え抜きの若手たちだった。いよいよ今週末に開幕を迎える17-18シーズンのエールディビジの勢力図を占う上でも知っておくべき、名門復活を導いた育成改革の秘密についてアヤックスに在籍している白井裕之氏に聞いた。


インタビュー・文 浅野賀一(月刊footballista編集長)


前倒しの育成
成長すれば上のカテゴリーに上げるオーダーメイドの育成プラン


──17歳のCBデ・リフトのオランダ代表入りが象徴ですが、名門アヤックスの復活は育成の成功が大きいのでしょうか?

「若手にチャンスを与えるアヤックスのカルチャーは昔から変わっていません。変化したのはヨーロッパサッカーの環境です。95年のボスマン判決以降、EU内での移籍が自由化しお金を持っているクラブが自由に選手を買えるようになりました。この間もスナイダー、ファン・デル・ファールト、デ・ヨンク、ハイティンハなどの才能を育ててきましたが、20歳前後ですぐに引き抜かれてチームは再構築を迫られる。その繰り返しでした。そこでアヤックスが考えたのは、10代でトップチームのレギュラー定着を目指す前倒しの育成です。それによって、1年でも長くトップチームでのプレーが可能になりました。17歳で主力に定着したマタイス・デ・リフトやユースティン・クライファートはその象徴です」


──具体的には、どう“前倒し”するのでしょう?

「各年代のチームを母体とした育成ではなく、個人にフォーカスした育成に舵を切りました。チームを勝たせるためではなく、あくまで個人の能力を伸ばす。メディカル、パフォーマンス、テクニカルという3つの部門が選手をサポートし、成長すれば上のカテゴリーに上げる。選手に合わせたオーダーメイドの育成プランと言えますね。体の成長やプレーのレベルも考慮して、その選手の成長にとって一番いい負荷を与えられる試合に出させる。17歳のデ・リフトを例に取ると、彼の昨シーズンのスタートはU-19でした。いきなり飛び級だったので、当時からクラブ内では話題でしたね。U-19のリーグやUEFAユースリーグでプレーし、シーズン中にヨング・アヤックス(オランダ2部に所属)と呼ばれるサテライトに昇格。この時点ではU-19のUEFAユースリーグとサテライトの公式戦に出ていたと思います。そして、トップチームにも参加するようになり、CBのレギュラーとして定着。アヤックスのレギュラーになればオランダ代表は当然という流れです」


──同年代のクライファートJr.はどうですか?

「デ・リフトとクライファートは同じ世代で、14歳の頃に一緒に写っている写真があるのですが、片や180cm、片や140cmくらいしかなかった。おそらく2人の間には生物学的に見て、3、4歳の差があるんだと思います。デ・リフトは8月生まれで早生まれということでもないので、単純に成長が早いのでしょう。クライファートの場合はU-17スタートでしたが、デ・リフトと同じように段階的にカテゴリーを上げて行き、トップチームのウイングのサブまで来ました。最近のアヤックスにはいなかったレベルの図抜けたウインガーです」


――おっしゃるように成長には個人差があるので、年齢だけではくくれない。どうやって成長を観測するのでしょうか?

「アヤックスの改革は『プラン・クライフ』という名称の通り、10年ほど前にクライフが帰って来た時に始まりました。クライフはサッカー以外の分野のエキスパートを連れて来て『アヤックス・ラボラトリー』という組織を設立し、各分野のパフォーマンスを客観的数値として出せるようにしました。現在は『プラン・クライフ』は終わってしまいましたが、その流れを継承しつつ実行と改善を繰り返しています」


──現在トップチームの半分ほどはアカデミー出身者ですよね?

「そうですね。主力の約半分はアカデミー出身ですね。デ・リフトやクライファートは10年近くアカデミーにいますし、19歳のデンマーク代表FWのドルベリも1年半はアカデミーに在籍していました。彼はちょうど私がアカデミーのアナリストをしていた時の選手で物静かなのですが、初めて彼のシュートを見てみんなびっくりしました。“イブラヒモビッチの再来”と期待されている大器です。もう一人、まだレギュラーではないですが20歳のヌーリも覚えておいてほしい逸材です。こちらはイニエスタにたとえられる天才肌のプレーメイカーで、2部のMVPを獲得しています(編注:ヌーリは7月のプレシーズンマッチの試合中に倒れ脳を損傷、選手としての再起は難しいと診断されてしまった)。ファン・デ・ベークという同期の選手ともども、移籍の噂があるクラーセン(編注:エバートン移籍が決定)の後釜として期待されています。クラーセンも10代前半から所属するアカデミーの生え抜きなので、理想的な世代交代ですよね」


──24歳まで主力としてプレーしたクラーセンはアヤックスにとっては功労者というわけですね。

「有望株が買われるのは避けられないのでデビュー時期を早めて活躍期間を延ばすというのが前倒しの育成の目的です。10代後半にデビューし、3 ~5シーズンはプレーして次世代に入れ替わるというサイクルを確立できれば、今までのようにウィンターブレイク前に欧州カップ戦が終わるのではなく、その先にまで進めるようになるかもしれません」

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最終更新:8/10(木) 19:34
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