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トランプの「リセットボタン」の意味

8/10(木) 11:10配信

Wedge

 今回のテーマは「トランプのリセットボタン」です。ドナルド・トランプ米大統領は、就任後6カ月を経過した段階で報道官、大統領首席補佐官及び広報部長といったホワイトハウスの主要ポストを入れ替えて、リセットボタンを押しました。中でも注目点は、議会対策で結果を出せなかった共和党主流派ラインス・プリーバス氏に見切りをつけ、まったく異なったタイプのジョン・ケリー国土安全保障長官を大統領首席補佐官に起用したことです。ケリー氏は元海兵隊将軍です。

 本稿では、「なぜプリーバス氏は大統領首席補佐官として成功を収めることができなかったのか」「ケリー氏はホワイトハウスに規律の回復をもたらすことができるのか」「トランプ大統領はトランプ陣営とロシア政府の共謀疑惑に対してもリセットボタンを押すのか」について考えてみます。

ゲートキーパー(門番)の役割

 一般に大統領首席補佐官の役割は、ゲートキーパーだと言われます。ゲートキーパーは、主として「大統領と誰を面会させるのか」並びに「どのアジェンダを優先的に大統領に上げるのか」等の意思決定を行います。一言で言えば、「人と情報のフィルター役」です。「人と情報の流れの管理者」とも言えます。大統領職における責務を果たすには、効果的な大統領首席補佐官が不可欠です。

 ではプリーバス氏は、なぜ大統領首席補佐官として効果的ではなかったのでしょうか。率直に言ってしまえば、同氏はゲートキーパーとしての役割をまったく果たせませんでした。その主たる原因は、プリーバス氏ではなくトランプ大統領のマネジメントスタイルにあります。同大統領は大統領首席補佐官のプリーバス氏に権限委譲をして、権限を集中させなかったのです。スティーブン・バノン首席戦略官兼大統領上級顧問と娘婿のジャレット・クシュナー上級顧問にも同等の権限を与え、権限を分散化してしまったのです。

 その結果、バノン氏、クシュナー氏、長女のイバンカ氏に加えて他の信頼の厚いスタッフまでもが、プリーバス氏を通さずに自由にトランプ大統領に接触ができたのです。ケリー氏を効果的な大統領首席補佐官にする鍵は、同氏に権限委譲をしてゲートキーパーとしての役割を明確にすることです。

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最終更新:8/10(木) 11:10
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