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大ヒット<八咫烏シリーズ>の作家で現役大学院生の阿部智里は人でなし?!書評家・大矢博子が創作現場に迫る

8/10(木) 12:00配信

otoCoto

史上最年少・若干20歳にして、松本清張賞を受賞してから約5年。デビュー作『烏に単は似合わない』に始まる和風ファンタジー〈八咫烏シリーズ〉は、人間の姿に転身することができる個性豊かな八咫烏たち・細部までしっかりと構築された異世界設定・一巻ごとに驚きの展開を見せるストーリーなどが熱い支持を受け、累計85万部を超えるベストセラーに。そしてついに、新刊の第6巻『弥栄の烏』で、第1部完結を迎えた作家・阿部智里に、書評家・大矢博子が大ヒット和風ファンタジーの創作現場について聞きました。


──『弥栄の烏』の帯に〈堂々完結!〉って書いてあって驚いたんですが、シリーズが終わるわけではなくて第1部が完結、なんですよね?

そうです、第1部が完結です。なんでこんな帯なんでしょうかね? この方が目立つのかな(担当編集者をチラ見。編集者はにっこり)。書きたかったテーマが一区切りついたので一旦完結という形になりましたが、第2部もありますよ。今度は少し未来の話になります。現段階ではそこまでしか言えないんですけど。

──そう聞いて安心しました。同じように驚いて心配した読者が多いと思うので。そのテーマについては後で伺うとして、まずはやはり『弥栄の烏』についてお聞きしましょう。これは前作『玉依姫』とほぼ同じ時間軸を八咫烏側から書いた話で、『玉依姫』には描かれなかった八咫烏サイドの事情が明かされます。第1巻『烏に単は似合わない』と第2巻『烏は主を選ばない』が同じ時間軸を女性視点・男性視点で書いた背中合わせの物語だったのと同じ趣向ですね。この世界の出来事について、かなり緻密に設計図を作ってらっしゃるように感じました。

設計図というか、作品世界の年表があるんです。ただ、その年表のどこを切り取って出すかというのは、常に試行錯誤してました。特に『玉依姫』をいつ出すかというのはずっと悩んでいて……内容が内容なので出しどころを間違うと世界観が崩壊しちゃいますし。

──『玉依姫』は、八咫烏の世界が実は人間界とつながっていたという、大きな転換点の作品でした。でも3巻の『黄金の烏』から少しずつ伏線は張ってましたよね?

そろそろいいかなと思って第5巻に持っていったんですが、キャラクターのファンになって下さった方から、八咫烏の出番が少ない、雪哉(シリーズ主役級の一人)が出ないってお叱りをいただいてしまったりして。ありがたいことなんですけど。

──雪哉が出ない……ああ、その読者さんにはぜひ『弥栄の烏』を読んでいただきたいですね! 実はちゃんとあそこにいたってことがわかるから。

名前が出ないだけで、実はけっこうお馴染みの八咫烏が『玉依姫』には登場してます。ただ、『玉依姫』は人間のヒロインの視点ですから、彼女がわからないこと、知らないことは書けない。そこに雪哉がいても彼女にとっては単なる一羽の八咫烏でしかないわけで、ああいうふうに書くしかないんですよね。

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最終更新:8/10(木) 12:00
otoCoto

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