ここから本文です

浅田真央を導いた佐藤信夫コーチが思う「点にならなくても大切なこと」

8/10(木) 12:04配信

webスポルティーバ

■連載・佐藤信夫コーチの「教え、教えられ」(8)

 選手として、そして指導者として長年にわたり日本のフィギュアスケート界を牽引し、国際スケート連盟の殿堂入りも果たしている佐藤信夫氏。コーチ歴50年。75歳になった現在も、毎日リンクに立ち、フィギュアスケートを教え続けている。

■【フォトギャラリー】浅田真央『THE ICE』

 その佐藤コーチが、前回に引き続きスパイラルについて語ってくれた。

 選手にスパイラルを指導するときには、基礎から順番に教えていきます。まずフラットエッジでまっすぐフォア(前進)で滑りながら、両方の足を順番に後方に腰付近まで上げるという練習。それができるようになったら、今度はバック(後進)でもやります。

 そのポジションを作れるようになるには、身体を支えるだけの筋力が必要です。ある程度の筋力ができてきたら、じゃあ今度はアウトサイドエッジに乗って滑ろうとか、インサイドエッジにしてみようとか、そして次の段階はアウトからインへ、インからアウトへのチェンジエッジをしようと進んでいきます。

 スパイラルに限らず、フィギュアスケートではインサイドエッジからアウトサイドエッジに変えるときのほうが難しいと言えるでしょう。もちろん、ケース・バイ・ケースで違いはありますが、重心を外側に移動することは、支えるものがない恐怖を抱くわけで、エッジをインからアウトに傾けるときは恐怖心との闘いが必要な場合があります。一方で、アウトサイドエッジからインサイドエッジに変わるときには、人間の持つ本能ということから考えてもそれほど怖くないと思います。

 人為的に「アウトからインに変えなさい」ということは、「アウトに傾いている傾斜をインサイドの傾斜に変えなさい」ということです。そうすると、エッジを変える時にブレードは猛烈に抵抗します。ギーッと氷の粉がいっぱい出て、そこでスピードがストンと落ちてしまう。そうなると次の動作(滑り続けること)にはつながりません。

 ではどうするかといったら、スピードをつけて滑っていって、ちょっと深めにエッジを倒していく。倒すということは遠心力が反対に働きます。その力が生まれたところで、逆サイドへポンと傾斜を変えて傾けてあげると、スピードを落とさないで滑っていけるのです。

 これがコンパルソリー技術の入り口で、簡単にスムーズにチェンジエッジができるスケートの技術なのです。渦巻きにならずに、サークルを描いたりまっすぐ進んだりするには、スピードと傾斜のバランス、そしてタイミングという3拍子がそろう必要があるわけです。

 ムーブズ・イン・ザ・フィールドには、スパイラルに限らずさまざまな技があります。それらのうちのひとつであるイーグルとイナバウアーについても少しお話ししようと思います。

 イーグルは足を180度に開いて、その状態のまま両足で弧を描いて滑ります。男子選手の大部分がやっている技でもあり、両手を左右に開いて滑る姿が、ちょうどワシが空を飛んでいるような感じに見えたことから、イーグルという名前がついたわけです。両手を開いて滑ると回転運動を制限でき、バランスが取れて思い通りに滑ることができます。もちろん、両手を開かないといけないというわけではありませんが。

1/2ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Sportiva

集英社

Sportivaムック
10月5日(木)発売

定価 本体1,593円+税

フィギュア特集
『羽生結弦 いざ決戦のシーズン』
■オータムクラシック2017
■宇野昌磨、本田真凜ほか