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このままでは日本は中国にAIでボロ負けする --- 松本 徹三

8/10(木) 16:00配信

アゴラ

普通の人がAI(人工知能)という言葉を聞けば、「ああ、また何だかわからないものが出てくるのね?」というのが一般的な反応でしょう。最近は日常茶飯事のように耳慣れない技術用語を聞かされて、「これで世の中が一変する」などと脅かされ続けているからです。しかし、AIに限っては、その程度の認識では困るのです。本当に世の中の仕組みが、世界中で激変する可能性があるからです。

実は、世の中はここ三十年でも相当変わってきました。三十年前の人が、長い眠りから覚めて突然今の世の中を見たら、何に一番驚くでしょうか? 三十年前には影も形もなかったのに、今は人々の毎日の生活に欠かせないもの。それは「スマホやパソコン、タブレットからアクセスできる、種々のインターネットサービス」でしょう。他のことにはさして驚かなくても、これが人間の日常生活にもたらした変化には、心底驚くに違いありません。(そして、これに関連する技術の先端を走っているのは、米国と中国なのです。)

それでは、今から三十年後の人たちが一番驚くものは? 私は、それは「AIが可能とする様々なもの」という言葉に要約される事になると思います。その頃には、「え? そんな事もできるの?」という様なことが、人間がほとんど介在することなく、至るところで起こっていると思われるからです。

AIの開発競争

私は近著「AIが神になる日」の中で、「人間が、自分達より格段に賢く、且つ常に清廉潔白なAIに、政治と経済に関するすべての重要な決定を委ね、自分達は理想的な『共産主義社会』の中での豊かで自由な生活を楽しむ」という、百年後の社会を予言していますが、問題は、現在のAIがその段階へと発展していくこれからの百年あまりの間に、我々は何をせねばならないかということです。

AIは開発するものであり、かつ利用するものでもあります。

AIをうまく利用する企業は、他社との競争で優位に立てるし、AIをうまく利用する国家は、他国に侮られない経済力と軍事力を維持することができます。個人レベルでも、AIをうまく利用する人は、より有効に時間を使い、より快適な生活をすることができるでしょう。

しかし、AI自体や、AIを利用した様々なシステムの開発競争は、これとは別次元の問題だと言えます。より進んだシステムを開発した企業は莫大な利益を上げることができるし、国家としてこれを行えば、自国の国益追求の上で極めて有利な立場に立てるでしょう。逆に言えば、ここで遅れをとれば、企業であれ国家であれ、一挙に衰亡の坂を転がり落ちる可能性が大です。従って、企業間でも国家間でも、この競争は、これから極めて熾烈なものになると覚悟せねばなりません。

では、現状で、この競争の最前線に立っているのは誰かといえば、第一には「米国国防省」と「グーグルを筆頭とする米国の先進IT企業群」であり、第二には「中国という国家」でしょう。国家としてのロシアやイスラエルがこれに続いていると思われますが、日本は残念ながら周回遅れではないでしょうか?

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最終更新:8/10(木) 16:00
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