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脳梗塞、がん、心臓病から15回生還した男がつづる前向きな闘病記

8/10(木) 6:30配信

ダ・ヴィンチニュース

 人は生きていれば色々な目に遭う。日本人の平均寿命が80歳を超しているせいか、この「色々な目」の1つに「大病」が挙げられる。私たちは自身の健康が「あたりまえのもの」と勘違いしているので、うっかり病気になったとき、そのかけがえのなさをようやく痛感するのだ。特に食生活、酒、たばこ、仕事など、体を顧みない生活を続けている人に読んでほしい1冊がある。『不死身のひと 脳梗塞、がん、心臓病から15回生還した男』(村串栄一/講談社)だ。

 本書はタイトル通り、15回の病気から生還した著者の闘病記。著者の村串栄一氏は現在68歳。フリーのジャーナリストだ。現職のときは、中日新聞社に勤めていた。なぜ15回も病気を繰り返してしまったのか。村串氏は、35歳ごろからの無茶な生活習慣が良くなかったと振り返っている。その頃から東京本社へ異動となり、新聞記者の中でも激務とされる「司法記者クラブ」や「国税記者」を経験したのだ。その激務さは、本書を読む限り壮絶。日常は仕事に明け暮れる日々と変わり、唯一の楽しみは食事、酒、たばこになってしまった。典型的な「家庭を顧みない仕事人間」である。

 その結果、このような病気を経験してしまう。

 ものすごい病歴年表だ。ジャブの応酬というよりは、右ストレートのラッシュに近い。1発でもまともに浴びれば「即刻、人生KO」な病気が並ぶ。

 これだけの病歴を記した書籍ならば、普通その内容はとても重厚で、健康に対して啓発的な文章が並ぶだろう。ひとつひとつの病気を詳しく解説し、その病気の性質、医療の解説、病気に対する向き合い方などが書かれていると予想してしまう。しかし本書は違った。どちらかというと、自己反省のような闘病記なのだ。

 もちろん脳梗塞で倒れたときの描写、病気と医療の詳しい解説、退院までの様子は非常に詳細に書かれており、とても勉強になる内容だ。しかし、ところどころに見られる村串氏の自戒というべきか、反省というべきか、日記のような文章が見られるのも事実。背中を丸めたおじさんが愚痴をつらつらと述べている感覚だ。なぜか面白い。しかもさらっと読めてしまう。15回目の「中咽頭、舌がん」が発覚したとき、ショックと諦観をにじませつつ、村串氏が妻にがんの報告をすると、電話の向こうで怒られたという描写がある。…不憫だ。

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