ここから本文です

糖尿病の薬(3) 「DPP-4阻害薬」

8/11(金) 14:00配信

月刊糖尿病ライフ さかえ

第3回 DPP-4阻害薬阻害薬の物語

■ どのように発見されたの?
 1902年に小腸から膵(すい)臓に刺激を与える物質が発見され、その後、尿糖を減少させるはたらきのある小腸の抽出物を取り出すことに成功し、後に「インクレチン」と名付けられました。さらに、インクレチンにはGLP-1とGIPの二つのホルモンが存在し、これらは食事の摂取で小腸から産生され、膵臓に達すると、インスリンを分泌することも解明されました。

 その後も研究が進み、インクレチンの生理的な作用を持続する薬としてDPP-4阻害薬が誕生、2009年9月に糖尿病薬として発売されました。

■ DPP-4阻害薬のはたらきは?
 DPP-4阻害薬は、小腸から分泌されたインクレチンの分解と失活を抑えることで血中インクレチン濃度を生理的に上げ、血糖値が高くなると、膵臓からのインスリン分泌を促すはたらきと、血糖値を上昇させる作用のあるホルモン、グルカゴンの分泌を抑えるという二つのはたらきで血糖値を低下させます。

■ なぜ、多くの日本人2型糖尿病患者さんに使われているの?
 現在の日本人は、食生活の変化やストレスによる過食や運動不足などが問題となっていますが、こうしたことが日本人2型糖尿病患者数の激増の要因と考えられています。

 DPP-4阻害薬はインスリン分泌不全を是正しながらも、低血糖や体重増加になりにくい薬として、日本人2型糖尿病の第一選択薬として期待され、多くの患者さんに使用されています。

■ その他に期待する効果は?
 この薬は、骨へカルシウムを蓄積する作用、胃排せつ遅延作用、心保護作用などの良い面の報告もありますが、栄養素を脂肪細胞に蓄積する作用もあり、運動療法や食事療法の遵守と共に服用することをお勧めします。

■ より安全に効果的に使うポイントは?
 日本では、9種類のDPP-4阻害薬が発売されています。ほとんどの薬が腎臓を介して尿中から排せつされます。そのため高齢者で腎機能が低下した方や腎機能がわるい方では用量を減量する必要があります。また、肝臓を介して胆汁にて糞(ふん)中に排せつされるため、減量の必要がない薬もあります。

 服用方法は、毎日1~2回服用と週1回服用するタイプがあります。

 ただし、1~5%の頻度で何らかの消化器症状や皮膚の発疹・発赤(はっせき)などが生じる方もいますので、そのような症状が出た場合は、すぐに主治医、かかりつけ薬剤師に相談してください。


関西電力病院 
薬剤部長・中央診療センター長
濱口良彦(はまぐち・よしひこ)

※『月刊糖尿病ライフさかえ』2017年3月号より

記事提供社からのご案内(外部サイト)

月刊糖尿病ライフさかえ

時事通信出版局

2017年8月号
(第57巻・8号)

月刊糖尿病ライフ さかえの前後の記事