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ある音楽フェスの炎上にセレブたちの“罪”を見た

8/11(金) 7:30配信

WIRED.jp

バハマの島でセレブが集う音楽祭を開催する──。セレブたちがSNS上で宣伝した「Fyre Festival」は杜撰な運営で参加者たちの怒りを買い、中心人物は詐欺容疑で逮捕された。何万というフォロワーをもつインフルエンサーを起用したマーケティングが引き起こした“事件”を通じて、SNS時代における“投稿”と広告との境界線、そして誇大広告の問題について考える。

誇大広告をなくし「正しい方向」へ

それはまるで、「ゴシップガール」と「ブラックミラー」という2つのテレビドラマが合わさったような“悪夢”だった。

2017年4月に予定されていた音楽フェス「Fyre Festival」(ファイア・フェスティヴァル)の触れ込みは、著名人やモデル、セレブがバハマに集まり、海辺でお酒を飲みながら贅沢な時間を過ごす──というものだった。ところが現地に行ってみると、野良犬がいたり、荷物がなくなったり、宿泊施設が災害時のキャンプのようだったのだ。ソーシャルメディアには、裕福なミレニアル世代が食品や水がなくてお手上げ状態だった、という話であふれた。

最初はそのほとんどの責任が、運営元であるFyre Media(ファイアメディア)の代表で、ラッパーのジャ・ルールにあると思われていた。だが実際に咎められるべきは、彼のパートナーであるビリー・マクファーランドだといわれるようになった。25歳のマクファーランドは「Fyre Festival」の共同創設者であり、マンハッタンを拠点にするオンデマンドの高級コンシェルジュサーヴィスを提供するMagnisesのCEOである[編註:マクファーランドは6月、詐欺の容疑で逮捕・起訴された]。

ヴェンチャー投資の誘惑に夢中になった25歳のテック系CEOと、90年代の人気ラッパーがプロデュースした、バハマでの悲惨な音楽フェスティヴァルには、応募者の1パーセントだけが参加できたという。これが2017年の寡頭政治とセレブ崇拝という異様な文化情勢にぴったりとフィットしていた。

それだけではない。Fyre Festivalは、モデルのケンダル・ジェンナーやベラ・ハディット、エミリー・ラタコウスキーといったセレブ、“インフルエンサー”、そして大手ソーシャルメディアによって宣伝されていた。これらのセレブはファイアに利用された“被害者”というよりも、消費者を無視した無責任なマーケティングの実行者と言っていい。

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最終更新:8/11(金) 7:30
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