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FC東京の新システムを操る、アンカー高萩洋次郎は地味だがすごい!

8/11(金) 8:20配信

webスポルティーバ

 緩やかながら、そこには確かな手応えがある。FC東京はアウェーで臨んだJ1第21節の大宮アルディージャ戦に2-1で勝利。リーグ戦では7試合ぶりの歓喜となったが、この1勝はFC東京が進むべき方向性を明確に示すと同時に、中断明けから採用している新システムへの光をもしっかりと照らしていた。

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 試合を決めたのは、自らのJ1通算400試合出場を祝う先制弾を決めたFW前田遼一であり、ケガからの復帰弾を決めたFW大久保嘉人だったが、FC東京が試みる新布陣のカギを握っているのは、間違いなく「3-1-4-2」の「1」を担うMF高萩洋次郎だろう。

 いわゆるアンカーとして3バックの前にどっしりと構える高萩は、ダブルボランチや2列目でプレーしていたかつてのように、特筆すべきプレーをするわけでもなければ、際立った活躍を見せるわけでもない。本人も「スプリントするような場面はかなり減りましたよね」と笑うが、その存在が実に利いている。

「攻撃的なポジションでプレーしていれば、多少はリスクを冒したプレーもできますけど、このポジションでそれはできない。だから今は、より確実なプレーを選択しています」

 試合中の高萩の動きを見れば、いい意味でそつがなく、とにかくミスが少ないのだ。大宮戦でも3バックからボールを受けては、前線や1列前のMF米本拓司、MF橋本拳人にショートパスをつなぎ、攻撃のテンポを作り出していた。守備では2列目に指示を送り、相手のコースを限定すると、自らボールを奪い返した。

 ただそこまでの仕事は、テクニックに長けた選手であれば遂行するのは可能であろう。それ以上に存在の大きさを感じさせるのは、卓越した戦術眼であり、相手の状況を見極める能力だった。

 4-1-4-1を採用した大宮は、1トップの江坂任をはじめ、2列目のマテウス、カウエ、マルセロ・トスカーノ、横谷繁の4枚が目まぐるしくポジションチェンジすることでFC東京の守備を攪乱してきた。FC東京が試みる3-1-4-2の弱点をひとつ挙げるとすれば、中盤の底が1枚のため、アンカーである高萩の両脇にできるスペースを突かれることにある。大宮もそれを周知していたからか、前半立ち上がりは高萩の両脇に選手が顔を出し、そこからゴールを狙おうとしていた。

 ところが、前半も15分を過ぎたあたりから、大宮が中央から斜めに狙ったパスが通らなくなる。そこには状況を察知した高萩から素早く機転を利かせた指示があったからだ。

「試合途中にヨネ(米本)とケント(橋本)に、守備のときはあまり前に行かず、俺のほぼ横にいるような形で逆三角形を作るように言ったんです。相手はポジションチェンジしたり、入れ替わったりして動いてきたけど、それに惑わされずにバランスを崩さないようにしてくれって。

 誰かひとりが相手についていってしまうと、そこで(自分の脇に)スペースができてしまう。相手が下がれば怖くはなくなるし、前を向かせてもいいから自分たちの形を崩さないようにしようって言いました。それからはチームとしても、だいぶ落ち着いて試合を運べるようになりましたよね」

 前節の川崎フロンターレ戦では時折、高萩が攻撃に顔を出し、全体のバランスを崩したがゆえに、そこを突かれるシーンも見られたが、大宮戦ではそうしたポジショニングによるミスも激減した。

「このシステムで試合をしていくなかで、自分たちの前で回される分にはそんなに怖くないというのがわかってきた。自分がスペースを空けてしまうと、相手もそれを狙っているんだということもわかってきたので、今はバランスを崩さないように意識しています」

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