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まさかの逆転負けも、木更津総合・山下輝に「エースの品格」を見た

8/11(金) 17:20配信

webスポルティーバ

「こんなに打たれたことは今までなかったのでね......。ちょっと珍しかったですね」

【写真】大阪桐蔭にも弱点あり?

 指揮官の五島卓道監督も首をかしげるピッチングだった。大会前には「大会ナンバーワン左腕」という呼び声の高かった木更津総合のエース・山下輝(やました ひかる)は、甲子園での勝利を目前に突如、崩れた。

 5対2と3点リードの9回表、日本航空石川打線にランナーを2人許しながらも連続奪三振で二死。しかし、「あと1人」の場面から4連打を浴びて一挙4失点。8、9回のわずか2イニングだけで被安打9、失点5と本来の姿とはほど遠い内容だった。

 捕手の芦名望は証言する。

「最後は真っすぐがきていなくて、3番(原田竜聖)にインコースの真っすぐをライト前に打たれたの(同点打)のも、普段はあそこまで持っていかれないんですけど......」

 試合後、山下は報道陣の待ち構える敗戦チーム用のお立ち台に上がり、静かに敗戦の弁を語り始めた。

「これだけ点を取ってもらったのに、自分が情けないピッチングをして申し訳ないと思います。後半は徐々によくなっていったと思ったんですけど、自信のある球が打たれて、甲子園の厳しさを感じました」

 1試合を通じて14本のヒットを打たれたのは初めてだという。確かに打ち込まれ、敗れた。それでも、プロ注目投手の実力はある程度見せた試合だった。

 試合開始2時間前、鈴なりの報道陣に対応する山下を見ていて思ったことがある。「まるで“おすもうさん“みたいだ」と。それは体型ではなく、泰然自若としたたたずまいに、取組後のインタビューに応じる力士の姿が重なったのだ。

「これが最後の試合になってもいい。一番自信のある真っすぐで押すところを見てほしいです」

 必要以上に感情の起伏を表に出すことなく、派手な言葉を口にすることもない。そんな悠然とした態度が、山下という人間の品格を感じさせた。

 五島監督は普段の山下について、こう評する。

「優しい子ですよ。でも、マウンドに上がれば感情を顔に出すこともないし、エースらしい選手です。去年の早川(隆久/早稲田大1年)は自分の意見を言うタイプでしたけど、山下は内に秘めるタイプですね」

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