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塩鮭とコーヒー? 相性の良さを味覚センサーが発見

8/11(金) 6:00配信

JBpress

 人の感覚に頼っていた味の評価が、「味覚センサー」によって客観的にできるようになってきた。社会の変化にともない、これからは消費者の多様なニーズに応じた食品の開発が求められる。味覚センサーはそれを実現する重要なツールになると期待されている。

味覚センサー「TS-5000Z」(写真)

■ 減塩、低糖質・・・食の好みは多様化

 少子高齢化や単身世帯の増加、女性の社会進出など、社会の変化にともない食のマーケットが多様化している。外食や総菜などの「中食」を利用する人が増え、食の簡便化や外部化が進んでいる。あらゆる世代や地域の嗜好に合わせた食品やサービスを開発することが必要となった。

 たとえば、コンビニエンスストアでは、地域に合わせておでんのだしや具を変えることは当たり前になっている。セブンイレブンではおでんのみならず、総菜の味付けも地域に合わせて変えている。今後も多様な嗜好に合わせた製品開発はもっと広がるだろう。

 高齢化を背景に健康志向も高まるばかり。減塩食品や低糖質食品などが次々に発売されているし、高齢者向けの介護食などの市場も拡大している。これらは単に健康によいとか栄養があるというだけでは売れず、おいしいことも重要となる。菓子メーカーのシャトレーゼでは「アレルギー対応ケーキ」や、糖尿病患者などのための「糖質カットのお菓子」を開発している。これらは小麦粉や砂糖、卵など本来の材料を使わずに通常品と同様の味わいを実現している。

 「製品を作れば売れる時代は終わりました。これからは消費者のニーズに合わせ、多様なものをつくらなければ売れません。そのためには、商品開発の戦略が必要です」

 こう話すのは味覚センサー事業を展開するインテリジェントセンサーテクノロジー(神奈川県厚木市)社長の池崎秀和さんだ。九州大学大学院の都甲潔主幹教授とともに25年以上かけて味覚センサーを開発してきた。

■ 味を測る“ものさし”を開発

 味覚センサーとは、味覚を測定する装置である。人間の舌を模倣した人工の脂質膜と電極でできたセンサーを試料に浸した後、膜で起こる電位の変化量を測定する。これにより食品の味を数値で示すことができる。味覚センサーは、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味、渋味、それに後味を測定することでコクやキレ、さらに味の相互作用を評価できる。また得られた数値データをグラフにすることで食品の味の特徴を表現することもできる。

 味覚は、食べ物に含まれている味物質を認識することで引き起こされる感覚だ。複雑で感じ方の個人差も大きいので、客観的な評価は難しいと考えられてきた。

 「優れた感覚をもつ検査の専門家でも、多様な味の好みにすべて対応することはできません。そこで、味を客観的に評価できる共通のものさしが必要と考えたのです」と池崎さんは話す。

 これまで、食品メーカーは人の官能による評価を頼りに味を決め、製品を開発してきたが、それには手間もコストもかかる。

 「もちろん官能評価は必要ですが、味覚センサーで目標とする味を数値化すれば、それを指標にすればいいので開発にかける時間やコストを削減できます」

 先に挙げた糖質をカットしたお菓子の開発にも、味覚センサーが使われている。たとえば、どら焼きは通常品と材料が全く違うので、これまでの製造の経験や勘を生かすことは難しかった。そこで、味覚センサーで測定した通常品の味と比較しながら試作が行われた。

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最終更新:8/11(金) 6:00
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