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「天理史上最高の主将」が監督に。元プロ・中村良二は超自由主義。

8/11(金) 11:01配信

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 今大会に出場する49代表校の監督のなかに、2人の元プロ出身の指導者がいる。

 ひとりは、西東京大会決勝で早稲田実を破った東海大菅生の若林弘泰監督。もうひとりが、天理(奈良)を2年ぶりの甲子園出場に導いた中村良二監督である。

 ほかにも智辯和歌山の中谷仁(元楽天)がコーチとして帯同するなど、ここ近年は元プロの指導者が甲子園に帰ってくるケースが増えた。元プロが高校野球指導者になるには、かつて教諭経験が必要だったが「学生野球資格回復制度研修会」によって大きく緩和され、門戸が開かれている。

一般入部から主将になり甲子園優勝、プロ入りした。

 監督として初出場を決めた中村の経歴を紐解くと興味深い。

 自身が天理高時代の3年夏、主将として全国制覇に貢献。卒業後はドラフト2位で近鉄に入団。その後、阪神などでも活躍した。

 現役引退後は小・中学生の野球指導に携わると、2008年からは天理大の監督に就任し、全国大学野球選手権ベスト8の実績を残した。そして2014年に母校のコーチに就くと、2015年8月から監督に就任。そして就任2年目にして甲子園出場を果たしたのである。言わば日本の野球界の様々なカテゴリーに精通している人物なのだ。

 中村は一言でいうと人格者だ。元プロの指導者は勝負の世界に生きてきたこともあってか、厳しい言葉を選んだり厳格な雰囲気を醸し出す人物が多い。ただ中村にはそういったタイプではなく、低姿勢で物腰が柔らかい。

 そもそも高校時代も野球推薦ではなく、一般入部からレギュラー、そしてキャプテンへと昇りつめた。個性の強かったチームをまとめあげ「天理高校史上最高のキャプテン」と言われていた。

高野連、大学連盟、プロ……すべてに支えられている。

 プロ・アマ規定の制度改正で母校復帰を果たした際、中村は現職への想いを人間味ある言葉で口にしていた。

 「日本高野連の田名部和裕さんは、『学生野球資格回復制度研修会』のために6カ月をかけて資料を作られたという話をうかがいました。全日本大学野球連盟の方も南原(晃)さんや内藤(雅之)さんが尽力されたり、プロでいうと松原(徹)さん。そういう方々の思いに、僕らは支えられています。それに応えられる指導をしなくちゃいけないと思っています」

 筆者も学生指導者資格回復の研修の講義を聴講したことがあるが、日本高野連には、実は世間に染みついている「堅物」のような印象はない。むしろ制度改正に積極的な姿勢で「プロの力を借りて、野球界を良くしたい」というスタンスでいる。

 プロ側の研修は、過去に起きたプロ・アマ断然の根深い歴史を風化させないための訓示的な要素が強い。一方で日本高野連のそれは、元プロの指導者が学生野球資格を取得した際に、いかにスムーズに高校野球界に入っていように推し進めるためのものだ。

 そこでは日本学生野球憲章が手渡されるが、すべてに目を通して把握している人物はアマを指導している人でも数少ない。研修会では、高校野球を指導する上で大事なことをかいつまんで説明してくれる。そこに参加した中村は、連盟の想いを十分に受け止めていた。

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最終更新:8/11(金) 11:01
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