ここから本文です

理想のスクワット 膝曲げだけはNG 「股関節」意識

8/12(土) 7:47配信

NIKKEI STYLE

 スクワットは身体づくりの万能薬といえる運動だ。単純な動作だけに、自己流で取り組んで膝や腰を痛める人も多い。安全で効果的なスクワット法を極めよう。
 スクワットは脚(大腿四頭筋)やお尻(大殿筋・中殿筋)の筋肉を鍛える運動だ。やり方次第では腹筋群や背筋群など体幹を鍛えることも可能。基礎代謝の向上やシェイプアップ効果も期待できる。
 まずは理想的なスクワットのフォームと動きを身につけよう。脚を肩幅程度に開いて立つ。股関節を曲げながら、お尻を突き出すように重心を落としていく。背筋を伸ばして上体をやや前に傾ける。膝を曲げるのは90度まで。最後はゆっくりと立位に戻る。
 重要なのは、いかに膝関節に負担をかけずに足腰を鍛えるか。ポイントは股関節の使い方に尽きる。「膝を曲げる」という先入観を排し、「股関節をたたむ」とイメージしよう。そうすれば人体の構造上、おのずとお尻を後ろに突き出す格好になる。鏡でフォームを確認して取り組もう。
 椅子を使った立ち座りの動きも効果的だ。浅めに腰掛けて、足を膝より後ろに置く。股関節を折り曲げて上体を倒し、足裏にしっかりと体重を乗せてゆっくり立ち上がる。同じ動きを巻き戻しするようにして静かに座る。4拍で立ち上がり、4拍で座るリズムを保とう。ゆっくり動くと筋肉への負荷が大きくなる。

 “万能薬”のはずのスクワットで膝や腰を痛めるのはなぜか。スクワットの動きを物理的に分析してみよう。
 身体が動くときは必ず、動作に関連する関節の周りで回転運動が起こる。回転の軸から起きる力の働きの度合いを「力のモーメント」と呼び、「回転軸と力点の距離×かかる力」で計算できる。
 スクワット動作の回転軸は膝関節の中心で、力点は体の重心だ。力点と回転軸の距離が短いと、膝への負担を軽減しながら足腰を強化できる。
 膝より上の体重が40キログラム、膝頭と膝関節の中心(回転軸)の距離が4センチメートルの人を例に計算してみよう。膝を突き出さないスクワットの回転軸と重心の距離を5センチメートルと仮定すると、膝を支える大腿四頭筋には50キログラムの負荷がかかる。
 ところが膝を前に突き出す曲げ方だと、回転軸と重心の距離は伸びる。15センチメートルだとすると大腿四頭筋にかかるのは150キログラム。一般的な体力の人だと筋肉の支えが足りず、関節に大きな負担がかかってしまう。
 回数が多すぎても膝を痛める。10回前後を1セットにして徐々に増やしていく。初挑戦の人は1回を丁寧に取り組み、習得したら2回、3回と増やすとよい。「毎日100回繰り返す」という武勇伝を聞くこともあるが、筋肉を相当鍛えていない限りは屈伸が浅すぎるか、反動を使っているだけで、筋肉の収縮が十分でない可能性が大きい。
 「床に落ちた物を拾う」「低いコンセントにプラグを差し込む」など、日常生活でもスクワット動作は多い。そんなときも意識して股関節をたたみ、膝や腰への負担軽減を心がけよう。
(早稲田大学スポーツ科学学術院 荒木 邦子)
[NIKKEIプラス1 2017年8月5日付]

最終更新:8/14(月) 7:47
NIKKEI STYLE

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ライフスタイルに知的な刺激を。
生活情報から仕事、家計管理まで幅広く掲載
トレンド情報や役立つノウハウも提供します
幅広い読者の知的関心にこたえます。