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オーセンティック香港へようこそ。うっとり〈秘伝メニュー〉宴会 第九回<ツレヅレハナコの香港・台湾食いだおれ記>

8/12(土) 6:01配信

幻冬舎plus

ツレヅレハナコ

 香港旅行の話といえば、
「返還前」「返還後」という言葉がキーワードになる。
そんな機会が良くあります。
1997年、それまでのイギリスから中国へ主権が移り、
政治経済はもちろん文化的な面でもさまざまな変化が訪れた香港。
バブルの頃も含めて「古き良き香港」の旅を堪能した人たちが、
「あの頃はよかった」と話すのを聞いて憧れたものです。

 そんな「返還前から足しげく香港に通った大先輩」から受け継がれる、
秘密の飲み食いメモがあると話す留美子さん。
「脈々と受け継がれていて、私も先輩からもらったの」って、
なんですか……その秘密メモ! 

 今でも行くべき古き良きレストランと食べるべきメニューのリスト。
それが手書きで伝わり続けるって、すごいなあ…。
そして、その筆頭となっているのが今回ご紹介する「陸羽茶室」です。
ガイドブックにも「午前中の飲茶の老舗」として載っている有名店ながら、
「ちがうのよ。夜に行くべきなのと、頼むものが重要なの」だそう。ほー。

 1933年創業。
昔は地元の上流階級が利用する格式高い茶室だったそうで、
確かに店構えからして雰囲気が違う!  
ホテルでもないのにドアマンがいるんですけど! 

 木とステンドグラスでできたコロニアル感漂うドアから入れば、
高い天井に下がるプロペラ式のファン。

 白いクロスがかかる円卓に人々が集います。ぎゃー、素敵! 

 木でできた汽車の食堂車のような座席。
そうとう古いものだと思うけれど、ていねいにメンテナンスされてピカピカ。

 たまらんなあと思いつつ一応メニューを開くと、
「もう決まっているから頼んじゃうね」と留美子さん。
おお、あの代々引き継がれるリストですね! 
持ち込んだワインを飲みつつ、あとはもう料理が来るのを待つのみ! 

 まずはやってきたのは、大きなスープ鉢。
ふたを開けると真っ白なスープ…
こちらは「杏仁白肺湯(中国アーモンドと豚の肺のスープ)」。
えー、アーモンドと肺!? 

 味の想像がつかないままひと口食べてみると、これは…杏仁豆腐の香り!  
甘さのない塩味ながら、もちろんこちらのベースも高級シャンタン。
奥深いだしがこれでもかと効いています。
そこに、ふわっふわで臭みなんてゼロな豚の肺……なにこれ、うまーい!! 

 お次は「珊瑚桂花翅(もやしとふかひれ炒め)」。
もやしとふかひれって、日本人からすると格差がすごすぎる組み合わせですが、
そこはもう香港。ご覧ください、この美しさ! 

 ていねいに下処理されたもやし、ふかひれ、さらには金華ハムと蟹の身。
それを絶妙な火加減でシャキッと炒めてあります。なんじゃこりゃ……。

 「これはダメな人は絶対にダメだけど最高」という、
「魚蒸肉餅(クサヤとひき肉の皿蒸し)」。

 蒸されたひき肉の中央にのせられたクサヤは、確かに強烈な香り。
でも、これをほぐしてひき肉と一緒に食べるとなんたる奥深い味。
うわー、初めて食べる。おいしいよう(泣いてる)。

 季節の青菜をはさんで興奮をしずめます。
しかしまた、この青菜もまたシャキッとすばらしいんだ! 

 「茘芋香鴨(タロイモと鴨のはさみ揚げ)」なる揚げもの。
サクサクの層になったパイのような中国ごろもを噛むと、
中にはねっとりふわふわなタロイモとジューシーな鴨肉。

 この断面……思い出しながらワイン呑めるわ。
芋や鴨肉自体は塩味なんだけど、上からかけるこの香味餡がまたたまらない。
ああ、コレのためだけにでもまた行きたいな! 

 そんな感じで感動しつつも、広い店内の奥まで見てみたい……ステキそうよねえ。
お手洗いに行くついでに見学に行くと、
ちょうどラストオーダーを終えた店員さんたちのまかないタイム! 
うおお…なに食べてるんですか! 

 大きなボウルのような鍋にはスープと米でできた平麺? 
このスープも、ちゃんとおいしいんだろうなあ……じっとり眺めつつよだれを流す。

 あー、すばらしかった。
この余韻を逃すまじ。今夜こそ素敵なバーに行きたいぞ! 

 というわけでやってきたのが、ICCビルの最上階にある「OZON」。

 おお……これぞイメージする香港! 
ボスッとうもれる広くてふかふかのソファーに座り、
ナイスビューの夜景を眺めつつフレッシュな果物のカクテルをいただきます。
ああ、落ち着くなあ。香港っていいとこですねー。
あと1泊なんてさびしいよー! 


■ツレヅレハナコ
2004年5月より食をテーマにしたホームページ「ツレヅレハナコ」を開設(現在はブログに移行)。以降、100万view超えのブログ、ツイッター、インスタグラムなどで個人的な食情報を紹介し続けている。角打ちからビストロ、自作弁当からホームパーティまで、外食・自炊ともに食への欲望は尽きず。それでも、「目玉焼きをつまみながら家で飲むお酒がサイコーだな」と日々思う家飲み好き。

ブログ「ツレヅレハナコ」 http://turehana.exblog.jp/
ツイッター @turehana
インスタグラム turehana1

はじめての著書となる本書は、SOLOで連載中の「ツレヅレハナコの夜のひとり呑みレシピ」を大幅に加筆修正。レシピだけでなく、お勧めのお手軽ワインや香味野菜を長持ちさせる方法など読み応えたっぷりのコラムも多数収録しています。

最終更新:8/12(土) 6:01
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