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R‐40本屋さん大賞〈ノンフィクション〉――ベテラン書店員さんたちのイチ押し本! 

8/13(日) 11:00配信

文春オンライン

「面白い本」を見つけ、日々全国各地の読者に届けている熟練目利き書店員の皆さん。彼らがお薦めする今年の1冊(2016年6月~2017年5月)はこれだ! 話題作や掘り出し本が続々登場。夏休みのお供を選ぶ最高のガイド、〈小説〉につづく〈ノンフィクション〉!

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〈ノンフィクション〉

1.『九十歳。何がめでたい』(佐藤愛子 著)小学館

2.『最後の秘境 東京藝大』(二宮敦人 著)新潮社

3.『応仁の乱』(呉座勇一 著)中公新書

4.『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ 著/柴田裕之 訳)河出書房新社

5.『魂でもいいから、そばにいて』(奥野修司 著)新潮社

1.九十歳。何がめでたい 

「とにかく面白い。人生いろいろあるのですね」(戸田書店長岡店・松田幸恵)

「歯に衣着せぬ物言いが痛快。本書を読んで精神力を磨きましょう」(成田本店しんまち店・長谷川達雄)

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著者・佐藤愛子
本音を言えば、「本が売れて、何がめでたい」(笑)
※ノンフィクション部門第1位 2017年上半期ベストセラー1位(日販調べ)

 せっかく選んでくださったお気持ちに、水を浴びせかけるようなことはしたくないんだけれど、私はアタマにバカがつく正直な人間でね。本音を言えば「本が売れて、何がめでたい」(笑)。どう思うかと問われても、「買った人に聞いてくれ」と答えるしかないんですよ。

 私は長く本の売れない作家でしたから、これは天変地異のようなもの。だけど世間の常識としては、勲章をもらったり、本がベストセラーになったりすれば、やれめでたいことだと誰もが思うわけでしょう。そういう人たちと歩調を合わせて会話をするのは、とっても辛いことなんですよ(笑)。

 あまりにエッセイのことばかり言われるので、小説も同じくらい売れてくれたら……とは、思わないでもありません。3年前に出した『晩鐘』は、とにかく私の作家生活の総ざらえという意気込みで書きましたのでね。一方、『九十歳。何がめでたい』は茶の間でのお喋りみたいな気持ちで、鼻歌を歌うように書いたわけだから、そちらが多くの人に読んでもらえたというのは、あんまり一生懸命に書くより、鼻歌ふうに書くほうがいいんだなと(笑)。作家生活60年にしてようやくわかりました。

 小説を書く時は、本当に一生懸命に書くんですよ。いつも枕元にエンピツとメモ帳を置いて寝て、ひょいと眠りが浅くなった時にふーっと浮かんできたことをすぐに書く。ある日、神津カンナさんの車に同乗している時に、ふと『晩鐘』の昨日書いた文章、あれはダメだ、と思いついて、すらすらと代わりの言葉が出てきたんです。ところがハンドバッグには書くものが何もない。歳を取っているとすぐ忘れるものでね、頭に浮かんだ文章を一生懸命くり返して、目的地につくなり、「カンナさん、何か書くものない? 書くもの書くもの、紙と鉛筆!」って(笑)。

 ……ただね、懸命に書いたからって、小説をどうしても読んでほしいということでもないんです。私はただ書くのが楽しくて書いてきただけで、売るために書いてるんじゃないし、読者のためでもないんですよ。書くことそのものに意味がある。ユーモラスに書いたとしても、それは読者を笑わせたいからではない。自分が面白いから書くんです。書くことが私の生きることなのでね。そのあと売れようが売れまいが、本当はどっちだっていい。そう才能がある方じゃないから、次々に構想が湧いて来るというわけでもないし、自分の言いたいことを十分に書けた、と思う時は気分が昂揚して幸福を感じる。書くことは楽しいけれど、同時に苦しいことでもあるんです。「たの苦しい」というかね。だいたい生きるってことがたの苦しいことですからね。私はたの苦しく生きてきた。それだけのことです。

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最終更新:8/24(木) 10:30
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