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「鬱とそうでない状態。明確なラインは存在しない」鬱のトンネルを抜けた漫画家が語る。

8/13(日) 8:00配信

BEST TIMES

日本人の約16%が経験しているという鬱病。鬱病は特別な人だけのものではなく誰だって罹る可能性があるものだ。自身も鬱病を患い快復した経験をもち、同じく経験者たちにインタビューを重ねた漫画『うつヌケ』を書いた田中圭一氏は誰しも鬱病になる可能性がある、と語る。

誰だって気づかないうちにトンネルに入る可能性が

――鬱ではない方に伝えたいことはありますか。

  現時点で鬱に縁がない人も世の中にはたくさんいるとは思いますが、例えば自分を嫌いになるとか、そういった鬱を引き起こしそうな気持にならないよう気を付けてほしいですね。ややもすれば、自分を責めてしまう人って多いのではないでしょうか。

 そうした傾向も度が過ぎてしまうと、鬱になる可能性だって大いにありえます。自分を褒める、認める、好きになるというのは心に対する栄養素みたいなものですから、それを時々与えてあげないとまずいですよね。

――少なからず、予備軍となる人はたくさんいるということですよね。

 可能性は大いにあります。『うつヌケ』では、鬱をトンネルに例えて表現していますが、「ここが入り口」「ここから先がトンネル」といった明確なラインは存在せず、その境界がグラデーションのようになっているんですよ。

 だから、そこに立っているのは半分鬱になりかかっている人や三分の一なりかかっている人もいますし、誰だって気づかないうちにトンネルに足を踏み入れてしまう可能性があるのです。特に男性は自分を鬱だと認めたがらない。「鬱って布団から出られないんでしょ? でも、俺はちゃんと会社にいっているよ」と。鬱は“心のがん”ですから、認めたくはないのですよ。それはわからなくもありません。

 でも、重度になって電車に飛び込む前に早く認めてしまったほうがいい。早い段階で医者に診てもらって薬をもらったほうが、効果も出やすくなりますから。

自分が鬱を引き起こす原因や法則みたいなものを把握すること

――「鬱とは一生付き合うしかない」という話を耳にしますが、“上手な付き合い方”みたいなものはあるのでしょうか? 

「鬱は再発を繰り返す」といわれていますが、抜けた立場からすると違和感を覚えます。はるか昔、自分が中高生だったころ、雨が2、3日続くと気持ちが沈んでいたし、秋になったらわけもなく寂しくて人恋しくなったりしていたよね、と。もともと人間は外気温や湿度によって気持ちが大きく変わるんです。

 子どもの頃は実生活に影響はなかったけれど、それが大きくなると、それがそのまま鬱へとつながっていきます。だから鬱を抜けた後も波はあって当たり前なのです。僕の場合は気温差が大きいと鬱を呼びやすいということが分かっているので、これは「体温調整機能が落ちただけだ」と考えることで、鬱じゃないぞと自分に言い聞かせていますし、気温差が激しい時は家に閉じこもっておくようにしています。僕は温度差が原因だけれども、もちろん個人差があります。気温や気圧以外にも、小さい時に厳しく育てられたトラウマ等もあるでしょう。とにかく自分が鬱を引き起こす原因や法則みたいなものを見つけて把握しておくと、対処もしやすくなります。

取材・文:伊藤秋廣 写真:花井智子

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