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時計ジャーナリスト鈴木裕之が選ぶ、スポーティな時計

8/13(日) 10:10配信

GQ JAPAN

クロノグラフなど本格的でハードコアなスポーツウォッチであれ、トレンドのラグジュアリースポーツであれ、大事なのは機能美。時計ジャーナリストの鈴木裕之が選ぶ、長く愛せるスポーティな時計とは?

【 長く愛せるスポーティな時計8選 】

■オリジナルのDNAが濃ければ、それだけヴィンテージとしての格も上がる

”デザインは機能に従う”あるいは”フォルムはファンクションに従う”というのは、バウハウスの有名なテーゼである。そこには、求められる機能的な使命を追求していけば、おのずから優れたフォルム=デザインに行き着く、という信念の表明がある。

腕時計の世界は、この信念によくなじむ、と思う。スポーティな時計が好例だ。たとえばクロノグラフ。スペースが限られるあの狭い文字盤の中で、ストップウォッチとしての視認性を確保しつつ、スモールセコンドや30分計などの小窓をバランス良くレイアウトしなければならない。さらに高級時計にふさわしいエレガントさやモダンさも求められる。ドレスウォッチや超複雑系と比べても、高級腕時計の醍醐味が凝縮されているのがスポーツティな時計なのだ。

ロイヤルオークやノーチラスなどトレンドのラグジュアリースポーツもそうだけれど、オリジナルのDNAが濃ければ濃いほどヴィンテージとしての格も上がる。長く愛される、というのはそういうことである。

筆者に蒙を啓いてくれたのは、1960年代のオメガのCラインケースだった。後から知ったがデザインしたのはジェラルド・ジェンタ。生前「ロレックスのオイスターは私が手掛けたかった」と語ったように、これはジェンタ流のオイスターそのものだ。ダイヤルはコンステレーションやシーマスターそのまま。しかしジェンタ曰く”ソフトでエルゴノミック”なケースは、こうした3針スタンダードウォッチすら特別な存在へと昇華させた。ケースデザインだけで、従来の時計の価値観が変わった瞬間であり、後のスポーティ・ウォッチが生まれた瞬間でもある。そしてジェンタの手腕は、72年のロイヤル オークで一気に華開くことになるのだ。

PROFILE
鈴木裕之
1972年、東京都出身。フリーライター兼時計専門誌『クロノス 日本版』のコントリ編集部員。時計業界歴16年、スイス取材歴14年になる。好きな時計はオーセンティックな薄型手巻き。

鈴木裕之

最終更新:8/13(日) 10:10
GQ JAPAN

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