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電気自動車は「エコ」か「エコノミー」か --- 池田 信夫

8/13(日) 15:29配信

アゴラ

テスラが新車を発表し、電気自動車(EV)が関心を集めている。フランスのマクロン大統領は「2040年までにガソリン・ディーゼル車の販売を停止する」という目標を発表した。つまり自動車はEVとハイブリッド車に限るということだが、それは可能だろうか。そして「エコ」なのだろうか?

まずドライバーにとって身近な問題から考えよう。EVの最大の問題は走行距離である。カタログ上は800kmを超す車種があるが、リチウム電池は自然放電するので、現実には300kmぐらいが限度だろう。セールスマンは「東京から箱根に往復するのが精一杯」というらしい。週末の家族旅行に使うのは、帰ってこられなくなるリスクが大きい。

行った先で電池が切れたらどうするか。今は充電スタンドはほとんどないので、それが今後、整備されるかどうかが大きな問題だが、「充電スタンドは当てにするな」というのがプロの助言だ。今のようにEVが少ないと、東京の都心以外では充電スタンドは商売として成り立たない。基本的に自宅で充電できる人が使うものだから、集合住宅では困難だろう。もちろん長距離の業務用には使えない。

ではEVは、ガソリン車より「エコノミー」だろうか。走行距離あたりの燃費(電気代)でみると、EVはガソリン車の約半分だが、これは電池のコストを含む所有コスト(ownership cost)で考える必要がある。これは車種によって大きく違うが、米エネルギー省(DoE)(https://energy.gov/sites/prod/files/2014/02/f8/eveverywhere_blueprint.pdf)の調べによれば、図のように5年間の所有コストは、ガソリン車(ICE)の平均3万6000ドルに対して、EVは約8万ドルと2倍以上である(2013年現在)。これを2022年にはガソリン車と同じレベルに下げるのがDoEの目標だ。

ガソリン車のコスト優位性は、原油価格に大きく依存する。次の図はシカゴ大学のチーム(https://www.aeaweb.org/articles?id=10.1257/jep.30.1.117)による推計だが、現在の電池コスト325ドル/kWhでは、原油価格が1バレル=420ドルまで上昇しないとEVが割安にならない。電池が2020年にDoEの目標とする125ドルまで下がると、バレル115ドルで両者は同じになる(日本のガソリン代はアメリカの約2倍だが、電気代も約2倍なので相対的な関係は同様)。

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最終更新:8/13(日) 15:29
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