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「所有者不明土地」が九州の面積を超える理由

8/13(日) 8:00配信

東洋経済オンライン

■死亡者名義のままの農地がそのままに…

 いったい誰の土地なのか――。

 土地所有者の居所や生死が判明しない、いわゆる土地の「所有者不明」問題が、日本各地で表面化している。2010年代に入り、マスメディアでも少しずつ取り上げられるようになったが、実は地域レベルでは必ずしも新しい問題ではない。

 1990年代初頭には、森林所有者に占める不在村地主の割合が2割を超え、林業関係者の間では、過疎化・相続増加に伴う相続人把握の難しさが指摘されていた。農業では、死亡者名義のままの農地が、集約化や耕作放棄地対策の支障となるとして、長年問題になっていた。

 2015年に鹿児島県が県単位で初めて行った調査によると、市町村の農地台帳、住民基本台帳、固定資産課税台帳の3つを照合した結果、各台帳間で名義人が一致せず、相続未登記が疑われる面積は5万9870ヘクタール、県内農地の38.2%を占めた。そのうち、農地所有者の死亡を住民基本台帳で確認できた確実な相続未登記農地は、3万2900ヘクタールで、県内農地の21%に上った(南日本新聞 2016年3月31日)。

 この問題は、国が農地集積や耕作放棄地の解消を図ることを目的に2014年4月からスタートした農地中間管理機構の取り組みでも支障となっている。

 農地を機構へ貸し付ける際は、相続登記済みであることが原則となっている。そのため、長年登記が放置されてきた農地では、権利関係の調整に手間取る例が各地で報告されている。

 こうした実態を踏まえ、農林水産省は2016年4月、初めて全国的な相続未登記農地の実態把握に乗り出した。政府の「日本再興戦略2016 第4次産業革命に向けて」(2016年6月2日閣議決定)のなかでも、「相続未登記の農地が機構の活用の阻害要因となっているとの指摘があることを踏まえ、全国の状況について調査を行うとともに、政府全体で相続登記の促進などの改善策を検討する」ことが明記された。

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